第20話:EXダンジョン初踏破来たああああああああああああ!!!


「うっへへへへへへ大量のお宝ゲット〜。これを売れば欲しかったブランド物いっぱい買える……うっへへへへへへへへ」


 さっき倒したモンスターは、いっぱい宝物を持っていたみたいで、ピカピカ光る金の豪華な鎧とか、プラチナの兜とか、どうやって持って帰ろうか悩ましいぐらいたくさんくれた。

 

 でも結局仲良しの握手はしてくれなかったんだよねぇ……。私の一撃で倒れないモンスターなんかあんまり見たことなかったから、仲良くなりたかったのに。むー。


「田中、当然みんなで山分けだからな。いや、ミヒロちゃんにいっぱいご褒美あげるんだぞ!」


「わかってるって〜そりゃ全てミヒロちゃんのおかげなんだから。ちなみにミヒロちゃんは何が欲しい?」


「うーん、後で考えてもいいですか? 今はすぐに頂上の景色をみたい気分なので!」


「おお、それもそうだ。とりあえずお宝はここに置いてってあとで取りに来るとして、最後の階段登ろっか!」


「はい!!!」


———

「ついに頂上到達か……」

「EXダンジョン初踏破の瞬間を見届けられるとは……!」

「おい、俺たちにも宝をくれ!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

「全裸待機バッチリ」

「座して待つ」

「やばい、もう泣きそう」

「果たして頂上にはどんなものが待っているんだ……!」

「そして磯部ミヒロは神となる」

———


「リスナーさんたちもすっごくワクワクしてますね! どんな景色が見れるんでしょう、私もうドキドキが止まりません!」


「私も。まぁ……そもそも本当に神獣商会の最高到達記録を塗り替えるだなんて思ってもみなかったけど。それに、こんなたくさんの人に見てもらえるなんて想像もしてなかったよ……」


「ミヒロちゃん来るまで同接一桁常連だったもんね〜カズサ」


「……うん。やっぱり、ミヒロちゃんを信じてついてきてよかった! それに色々大変なこともあったけど、すっごく楽しかったし!」


「カズサさん……」


 ポロポロと嬉し涙を流しながら、カズサさんは満面の笑みで私にお礼を言ってくれた。そんなカズサさんの表情見てたら、私も泣き出しちゃいそうだよぉ……。

 本当によかった、カズサさんにそう言ってもらえて!!!


「おいおいカズサ、まだ頂上には到達してないんだぞ。まだ泣くのは早いって!」


「田中、お前はずっとにへら笑いで気持ち悪い」


「え!? い、いやー、ミヒロちゃんが偉業を達成してくれて嬉しいからかなぁ〜」


「嘘つけ、絶対宝が嬉しいだけだろ!!!」


「なっ、わ、私をそんな金に飢えたやつと一緒にするな! 私が発掘した逸材がこんなすごい活躍をしてくれたことが一番嬉しいに決まってるだろ! ミヒロちゃん、本当にありがとう!!!」


「田中さん……!」


 田中さん、多分本当はお宝が一番嬉しいんだと思う。だってさっきから一旦おいてきたお宝をチラチラ見ながらよだれ垂らしてるもん。

 でも、今私がここにいるのは田中さんが私を見つけてくれたおかげ。だから私こそ、田中さんに感謝しないと!!!


「私こそありがとうございます! 田中さんが私をたまこし学園に加入させてくれたから、今こうやって配信活動ができてるんですもん!」


「み、ミヒロちゃん……ううっ、本当に君はいい子だなぁ!!!」


———

「なんか階段登ってく最中なのに最終回っぽくて草」

「おいミヒロ、俺たちはどうなんだ!」

「ジャンヌ、我らのことも褒めてくだされ!」

「俺らもミヒロの活躍に貢献……はしてないな」

「俺たちに感動と笑いとエロをありがとう!!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

「磯部ミヒロ最高!磯部ミヒロ最高!磯部ミヒロ最高!磯部ミヒロ最高!」

「磯部ミヒロ最高!磯部ミヒロ最高!磯部ミヒロ最高!磯部ミヒロ最高!」

「磯部ミヒロ最高!磯部ミヒロ最高!磯部ミヒロ最高!磯部ミヒロ最高!」

「磯部ミヒロ最高!磯部ミヒロ最高!磯部ミヒロ最高!磯部ミヒロ最高!」

「磯部ミヒロ最高!磯部ミヒロ最高!磯部ミヒロ最高!磯部ミヒロ最高!」

———


「リスナーの皆さんもありがとうございます! やっぱりみなさんがいてくれたから、このダンジョンも楽しく登れたし、いっぱいコメントも送ってくれたし……みなさんは最高です!!!」


———

「泣いた」

「泣いた」

「泣いた」

「泣いた」

「えへへ」

「えへへ」

「えへへ」

「えへへ」

「もうミヒロしか推せない」

「ミヒロが一番だよ!!!」

「もう俺たちの神だよミヒロは!!!」

———


「えへへ、みなさん本当に面白くて最高ですね! あ、もうすぐ頂上に着きます!」


「いよいよか……どんなのが待ってるんだろう」


「もしかしたらさらなるボスモンスターがいたりして」


「た、田中……ここにきてそんなフラグを立てるなよ」


「ははっ、でもミヒロちゃんがいるからきっとなんとかなるって。よし、開けよう!」


「はい!」


 天翔る楼閣、最後の扉。それを私はゆっくりと開ける。するとそこには———


「うわぁ……き、綺麗……!!!」


 雲の上にあるこのダンジョンの頂上は、まさに絶景だった。晴れ渡った透き通りような空の下には、一面雪景色かのような雲海。そして空を見上げると、そこには燦々と輝く太陽が私たちを歓迎してくれている。


 そして、ポツンと置かれた小さな神社がなんだか私たちを招き入れるかのように、不思議な光を放っていた。


「すごい景色……。それに、あれはなんだろう? なんか宝玉みたいなのがおいてあるけど……」


「絶対トラップでしょ。触っちゃダメだよミヒロちゃ……ああ!?」


「なんだろうこれ……あれ?」


 気になった私は早速神社にある赤い宝玉を手に持ってみた。すると、なんだか急にぴかーって光を放ち初めて……どこからか、声が聞こえてきた。


【EXダンジョン「天翔る楼閣」、踏破達成】


「……これって」


「このEXダンジョンを踏破したことって……」


「こと!?」


「「「やったあああああああああああああああああ!!!」」」


———

「88888888888888888888888888888888888」

「EXダンジョン初踏破きたああああああああああああああああああああああああ!」

「磯部ミヒロが神となった瞬間」

「うああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

「きたああああああああああああああああああああああああああああああ!」

「おめでとうミヒロ!」

「おめでとうたまこし学園!」

「お前ら最高!!!」

「最高の配信だあああああああああああ!」

「超朗報:磯部ミヒロ、マジでEXダンジョンを踏破する」

「やば、泣いた」

「俺らに頂上の景色を見せてくれてありがとう!!!」

「磯部ミヒロ、さいっきょう!!!」

「yaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!」

「これは磯部ミヒロ伝説の始まりに過ぎないのだ」

———

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