ストローだけに穴があったら入りたいっていうお話

 これは、社会人1年生の かいりさんの物語。

 恥ずかしくて、恥ずかしくて、今でもお思い出すと体が熱くなる、そんなアホなお話です。


 さて、どんなお話なの?と言いますと…。


 社会人1年生の かいりさん、同期の宮崎くんと宮崎くんの先輩の相川先輩と3人でお客様のところにご挨拶に行きましたよ。事件はご挨拶の帰りに立ち寄った、カフェで起きました。


 相川先輩は、 かいりさんたちよりも8歳年上で、3児のパパさん。そして同期の宮崎くんはちょっと変わった男の子。(あれ?なんかどっかで聞いたような? まーそうゆうこともあります。えへへ)


  かいりさんたちはアイスコーヒーを買ってもらって、横並びに座ります。相川先輩を真ん中に、宮崎くんと かいりさんで挟む形で座っているのです。


「「ご馳走さまです!」」

「いいよ~。そんなに緊張しないでよ。二人ともブラックでよかったの?」

「「はい!」」


  かいりさんたちは、礼儀正しいのです。背筋をピンと伸ばして、軽くベンチの手前に腰かけて、相川先輩の目をしっかり見ようと、向き合うように膝を相川先輩の方に向けて座っています。


「相川さんは、お子さんいらっしゃるのですか?」

「いるよ~。もう毎日大変だよ」

「男の子ちゃんですか?」

「そう、男、男、女」

「わぁ~賑やかですねー」


 そんなたわいものない話をしていると、相川先輩が宮崎くんの方を向いて話しかけます。お仕事の重要なポイントを話しているっぽい。


 うんうん。かいりさん、相川先輩の背中を見ながらいつ振り向かれても問題ないように目を見ることを忘れません。真剣に話を聞いているっていう姿勢を貫きます。そして、それと同時に相川先輩がご馳走してくれたアイスコーヒーを飲もうとコップを持ち上げました。


 ズボッ。


「っ!!!!!」


 な、なんと、アイスコーヒーのストローが、かいりさんの鼻の穴にズボッとINしたのです!!


 だって、ストローの居場所なんて確認してないから、先輩の顔から眼をそらさない様にしていたから。ストローだってINします!


 慌ててかいりさん、コップを口元から離しました。



 ぶらぁ~ん。


「なっ!!」


 ストローは、かいりさんの鼻に刺さったまま。プラプラしているじゃありませんか!


 それだけだったら、まだ傷は浅かった…。でもこの事件は、そんなに甘くはないのです。


 宮崎くんとかいりさんは向かい合っているのです。

だから…、かいりさんの恥ずかしい姿を宮崎くんは、ばっちり目撃しているのです!!


 慌てたかいりさんは、ストローを鼻から引っこ抜いて、何事もなかったようにコップに戻します。


 ちょっとニヤついた宮崎くんの表情を見逃さなかった相川先輩が、かいりさんの方に振り向きました。


 かいりさん、何事もなかったようにストローを指でぐりぐりふき取ります。だって鼻の中に入ってたから…。きっと顔は真っ赤になっていたことでしょう。でもね、何事もなかったようにしれっと笑顔を作っていたかいりさん。


 きっと相川先輩は気付いてないはず! 気付いてないと…思いたい。


 やさしい宮崎くんは、何も言わず何も語らず、ただ一言。


「どんまい」


 ストローを使う時は、目線をストローに! でないと大惨事がおきますよ。っていうお話でした(汗)。


 TikTokとかない時代でよかった…。




END

*最近はサスティナブルでストローも紙だったり、ストローもなかったりしますよね。ちなみにストローは細いモノでした! 太かったら鼻には入らなかったハズ…と思いたい(汗)。

*今夜もお付き合いいただき、ありがとうございました!(ぺこり)

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