先に行っていいよ。

「ハァ…ハァ…」


 チビッ子のかいりが息も絶え絶えに寝込んでいます。そう…、私は子どもの頃とても身体弱かったのです。今では考えられませんがw


 だから、幼稚園のお誕生日会には2年連続参加できなくて、年少さんの時はリンゴ病、年中さんの時はおたふくと麻疹はしかを併発するという事件が起きていたのです。なんとも不運なチビッ子のかいり…。


 それだけじゃないのです!小児科喘息、扁桃炎…気管支がとっても弱い子どもでした。


 そんなチビッ子のかいりは、寝込むと決まって同じ夢を見るのです。とっても不思議な夢を。


 その夢は、布団の中から見えるカーテンレールの上をありさんが行列をつくって歩いている。ただそれだけのものでした。


 ありさんは、カーテンレールの端までくると先頭の子がポタっと落ちる。そこで夢が終わるのです。そしてまた次の時も同じことの繰り返し。


 今思えば、ありなんて小さいものが見えるはずもなく、不思議この上ない。


「ママ~。ハァ…ハァ…。ありさんが歩いてるの。あそこ。ハァ…ハァ。あそこ。」


 私はうなされながらいつも同じカーテンレールを指さして訴えかてたそうです。現実なのか幻想なのか夢なのか分からない状態でこの夢は始まり、ある日を境に唐突に終わったのです。


 最後のありさんたちは、チビッ子のかいりが高熱で寝込んでいる時に現れました。


 いつもの様に私にはありが行列をなして行進をしているのが見えます。すると…。


 ギューンと身体が宙を舞い、私は蟻の行列に加わったのです。


 石がゴロゴロしている坂道を一生懸命上に向かって歩いて、歩いて…列を乱さない様に歩いて…。富士山の六合目の様な道が続いているんです。私は疲れて大きな石に座り込みありに話しかけます。


「先に行っていいよ。」


 すると後ろにいたありが軽く私に会釈して、すぐ前の崖から飛び込み、ヒラヒラと奇麗な羽をつけて蝶になり空高く飛んで行ったのです!

 すごく奇麗で、怖いとも何とも思わなかった私は、あ~次は私だ。なんて納得してるんです。


 そして私の順番が回ってきました。


 思い切ってさっき見たありさんと同じようにダイブをします。私の身体は光に包まれて…。


 それ以来この夢は見なくなり、チビッ子のかいりも水泳を習う様になって高熱にうなされることも少なくなりましたw


 うなされていると、説明のできない夢に追いかけられるのかもしれませんね。


 この物語に落ちもなく…説明もつかずの消化不良でごめんなさい。


END


*次回は大人の階段を上り始めた子どもの頃のちょっとおませな夢のお話を。続きはNext storyで☆ 次もオチが…たぶんナイかな~。ないのか…。イヤ、ここまで来たらやり遂げよう!←心の声でした(/ω\)

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