1番おいしいグミ、グレープ味じゃない?

「松村君、退院するの?!」



松村君が入院してから二週間私はまた会いにきてた。

結構何回も来てるから、松村君とだいぶ距離を詰められるようになったと思う!



そろそろ…下の名前で呼びたいなー…なんて!



「俺の骨の回復が早かったのかでられるらしい」


骨の回復が早かったのか、医者の腕が良かったのか、まあまあ早めに退院することができるんだ…松村君は三角巾をもう外していた




「良かったね〜!リハビリは?家から通うの?」


「多分な」


「やっと帰れるね!病院の暮らしどーだった?」


「ご飯以外は好きだった」


松村君は悩ましい顔をする。

わかるよ、病院のご飯は薄くて物足りないよね。身体にいい味はするけど。


そういえば、松村君は前に私が持ってきたグミにハマってしまった。あれ以降、グミを持ってくるととても嬉しそうにしていた。意外とグレープ味も美味しいなんていっていた。


今日はみかん味のグミを彼に渡す。


「みかん?合うか…?」


みかんの袋をまじまじと見つめる。

合うしめっちゃ美味いよ!!



「一回食べてみなって〜」


「…うまい」



想像より美味しかったのか悔しそうに言った。

ふふん、でしょ!個人的にグレープ1位、いちご2位、みかん3位だと思ってる。

松村君は何が1番好きだったんだろ。


「松村君の今まで食べたグミのランキングどんな感じ?」


「難しい質問だな…、グレープ1位いちご2位みかん3位」


「一緒ー!!」



やっぱり、そのランキングだよね!

嬉しい!食の好みが一緒なのはまあまあ嬉しい。松村君と私の共通点他にないかな。

ご飯派パン派とか…。


「松村君はご飯派?パン派?」


もちろん私はご飯派!結構ガッツリしたものが好きだからパンは種類にもよるけどあんまり食べない。惣菜パンは好きだけど。

松村君は腕を組んで、深く考え始めた。この質問悩ましいよね。気持ちとかどこで食べるかで違いそうだし。





「ご飯派だな」





えまって、一緒じゃん!!やば、これからご飯食べにいく時和食屋誘お!

一緒にご飯食べにいく日なんてくるかわかんないけど。



「んふふ」



「なんでそんな顔してるんだ…」




私がへらへらしてたら呆れた顔してみられた。




__




「退院おめでと!!」



病院から出てきた松村君を迎える。LINEで会おうと連絡したから、松村君はいきなり御出迎えされても、なんのリアクションもなくありがとうと言った。何よーもっと驚いてくれたって良かったのに。



「…グミが食べたい」


「そんなに好きになっちゃったの?」


「ああ、好きだ」


躊躇いもなく、好きだと言う彼に少しドキ、とした。

もちろん私に言ったのではないとわかっている、けど反応しちゃうのはしょうがないじゃん!



「…私も好きだよ」




グミが、ね。




「……美味しいよな」



ちら、と私をみた後松村君は空を見上げた。

どうして急に見上げたのか分からなくて、一瞬気まずい空気になった。お互いが無言になって静かだった。



「そ、そーだ!!グミ買いに行こうよ!コンビニにさ」



そんな空気に終止符を打つべくそう言った。私はぽん、と手に手を置く。



「いいな、買いに行こう」


心なしか彼はワクワクしているように見え、ほ、と安心した。今度は気まずい空気は完全に消え、明るい空気になった。グミすごい!!



多分近くに…コンビニあったよね。病院前だし。

私たちはコンビニを探すべく、ここらを歩き回った。いつもならそこらじゅうにコンビニがあるのに、ほんとに行きたい時はなかなか見つからない。しかし、ようやく一軒のコンビニを見つけた。人気のあるコンビニではなく、ここの地域でしかみたことがないマイナーなコンビニだった。



「いこー!」


早速、入り口近くにグミ置き場があった。

松村君はしゃがみ、その置き場をじっくりと眺めた。いいのあったかな?何選ぶんだろ?

そんな気持ちで置き場を眺めている松村君を眺めた。


「いいのあった?」


「この桃味美味しそうだなと思って」


「あーそれ美味しいよ!!硬いしいい感じ」


「硬いのか?」


「うん、かみごたえある」


今まで松村君に渡してきたものは柔らかいものばかりで、硬いのは渡したことが無かった。

ハードグミデビューだね。


彼はそれを選び、列に並んだ。私は、唐揚げにしよっかな?お昼だしお腹すいた。

松村君は表情ではあまり分からないけど、動きとかでわかる、多分今ワクワクしてる。



次は、松村君の番というところで彼の動きが止まった。

どうしたんだろ、と思って覗くとそこには、



_藤田のネームプレートがついた店員が居た。

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