来てねと言われた私、圧をかけられる。

「良いけど、」



私は田中にバレないよう、松村君と目配せをする。

うん、この反応なら松村君も残ってくれるかもしれない。別に断っても良いけど不自然過ぎるし、何より真犯人を見つけられない、…頑張ろう。


早速来た私に忍び寄る毒の手に負けないように。




「良かったぁ。先に着いちゃったりしたら連絡して…ね?」


コワ、なにこの圧。


彼女が私たちのそばを離れても、私は警戒を解くことができなかった。

渡したいものってなんだろう、触るだけで危険な毒とか仕掛けられているんじゃないか、上手く演技ができるか、全てが不安になってきていた。





今日も学校が終わった。

私は、椅子以外には何もいじめっぽい事はされなかった。



…思ったんだけどクラスの皆は私の椅子に暴言を書いた人は見ていないのかな、みーんな松村君がやったと本気で信じているのかなぁ?だとしたらやばいね、単純過ぎるでしょ。



ーガラガラ

古い空き教室の扉を開けるが、まだ誰もいないみたいだった。

連絡しなきゃいけないじゃん…嫌だなー。


“おーい、まだ?“


LINEを送ると、秒速で返事が返ってくる。

既読なんか送った時にもう付いていた。やだー!監視されてるみたいで気持ち悪い!!


“もうすぐいく“


心臓がドキドキしてきた。もう、来るんだ。


「ねえ、松村君…いるよね?!」


「いるが」


不安と緊張感で手汗がびちょびちょのまま、私は自分の服をぎゅっと握りしめた。

松村君が居なかったら今頃失神してたかも!!!流石にうそだけど。


松村君には掃除ロッカーの中に隠れてもらっている。

もし、無理矢理食べさせられようとした時に止めてくれるらしい…ありがたいねぇ、頼りにしちゃう。


「お待たせ…」


来た!!!私たちの真犯人候補の一人が来た!!!

ドッドッと、心臓の音が止まらない。



ーーーーーーーーーーーー


ー少し前



「やっぱあの目の感じぃ…変わんないしたまらないなぁ」


女はボソ、と廊下で呟いた。

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