④魔法少女編

「大変や、幼馴染ちゃん!」

「このエセ関西弁を操る謎にポップな声音は!?」

「そう! 己(ワシ)や!」

「……誰?」

「魔法少女のマスコットに決まっとるやないかい!」

「ツッコミの鋭さは関西クラスだ」



      ~ ~ ~



「んん、ん? はれ、ドラ吉。何してるの?」

「寝とる場合やない! 大変なんや、幼馴染ちゃん! 超巨大ヨクバリスの襲来や!」

「明日にして。今はお昼寝の時間なの」

「アホゆーとる場合やないで! 今すぐ馳せ参じんと地球が、この銀河そのものが滅亡するかもしれへんのやで!?」

「すぴ~、すぴ~」

「地球が崩壊したら幼馴染ちゃんの大好きなお肉も! お菓子も! なんもかんも二度と食えへんのやぞ!? それでもええんか!?」

「うぅん、ツンデレちゃんのお手々、クリームみたいにあまぁい、にゅふふ♪」

「どないしたらええんや……もうおしまいや……所詮己には魔法少女のガイドマスコットなんて荷が重すぎたんや……っ」

「幼馴染ちゃん。地球を救うっていう名目があれば午後の授業サボっても怒られないよ」

「さ、行くよドラ吉!」

「いやあんさん己の代わりにマスコットやらへんか!?」



     ~ ~ ~



「ヨクバ~リス! ヨクバ~リス!」

「ターゲットロック! 幼馴染ちゃん、変身や!」

「魔法少女の変身生バンクをこの目で拝めるんだね……!」

「あ、運動の前にまずはしっかりストレッチしないとね!」

「今までそんなんやったことあらへんやん!?」

「一秒でも多く戦闘を長引かせて絶対に授業には復帰しないっていう幼馴染ちゃんの鉄の意志を感じる」



     ~ ~ ~


「さあ、今度こそ行くよ!」

「やっと変身バンクだ!」

「皆の想いがガイアを照らす! 光の使者、ピュア・ルフレ!」

「きゃあああああルフレよ!」

「ルフレちゃ~~~ん!」

「凄い人気だ。僕は初めて存在を知ったけど」

「ヨクバ~リス♪ ヨクバ~リス」

「……って、あんさんもファンなんかい!!」



     ~ ~ ~


「気を取り直して! 幼馴染ちゃん――もといルフレ! やってまえ!」

「やあ~~!」

「ヨクバーリス!」

「ヨクバリス私は今から右手左手右足左足頭突きのローテーションで顔面を狙うからそこだけ重点的に守って」

「プログラマーのタイピングみたいな速度で敵と口裏合わせてまで時間稼ぎに走る幼馴染ちゃんの学校サボりたい気持ちにはいっそ尊敬を覚える」



     ~ ~ ~


 

「くっ。つ、強い!」

「なんだかんだありつつ苦戦してるね幼馴染ちゃん!」

「しゃーない! こうなったら必殺技や、ルフレ!」

「おお! ある時は謎ビームだったり! またある時はプロ顔負けの格闘技だったりする魔法少女の醍醐味! 幼馴染ちゃんの必殺技っていったい――」

「――いでよ、終末の魔剣『ラグナロク』」

「装備したら秒で呪われそうなの出ちゃった」



     ~ ~ ~


「勝った! 勝ったで、ルフレ! これにてミッションコンプやぁ!」

「ヨクバリスがミンチになったお肉みたいにおどろおどろしい肉片になってしまった」

「……」

「幼馴染ちゃん、真剣な顔してる。敵とはいえ倒してしまったことに胸を痛めてるのかな」

「ぐ~ぎゅるるるるるる」

「どうやって食べようか考えてるだけだった」



    ~ ~ ~


「ハンバーグ」

「……」

「メンチカツ」

「……」

「あ、ピーマンの肉詰め?」

「!!!!」

「いやそうはならんやろ!?」



    ~ ~ ~



「それにしても幼馴染ちゃんの魔法少女姿、新鮮でいいね」

「ふふん! 惚れ直した?」

「いや?」

「そんな……」

「既に最高まで幼馴染ちゃんへの好感度は上がりきってるからね」

「えへへ♪」

「あー解散や解散! 誰かぶぶ漬け持って来~い!」


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