第7話 アニメじゃない! ロボットオタク感激する

 今から、オレの考えを話したいと思う。

 聞きたくない人は、聞き流してくれて構わない。


 オレが好きな巨大ロボットといえば、「機動○士○ンダム」だ。

 誕生三〇周年を迎えた「○ンダム」が等身大で作られ、二〇〇九年夏、台場に建った。

「大地に立つ」の間違いではないか?

 と、思うかもしれないが「台場に建った」が正しい。


 等身大「○ンダム」は、動かないロボットだった。

 動いてもせいぜい、頭がウィーンウィーンと上下左右に動いて、スチームがブシューと出るくらいだった。

 それでも、壮大な音楽と効果音が流れる中、スポットライトを浴びてそそり立つ姿は、なかなか壮観だった。


 それを見る為だけに、遠方からたくさんの大きなお友達が足を運んだ。

 完成を待ち切れずに、制作過程から見に行った熱心なファンもいたらしい。

 高さにして、一八メートル。

 他の巨大ロボット物と比べると、まだ小さい方だ。


 一番小さい巨大ロボットは、手の平サイズの「黄金○士ゴール○ライタン」

 それを「巨大ロボット」と、呼ぶのはおかしいと思うかもしれない。

 実は質量保存の法則を無視して、全長三十メートルにもなる。

 約五百倍と考えて、質量にすると五百の三乗倍。

 つまり、一億二千五百万倍にもなる。

 その質量は、一体どこからやってきたんだ?


 これに限らず、質量保存の法則を無視したロボットアニメは、実は結構ある。

 「ゲッ○ーロボ」なんかが、良い例だ。

 三つのロボットが変形合体して、ひとつのロボットになる。

 組み合わせパターンは三つで、フォームチェンジする度に、重さや色が変わる。

 しかも、明らかにロボット変形とは思えない変形をする。


 逆に一番大きい物は、オレの知る限りでは「天○突破グレ○ラガン」

 全長は、なんと驚きの百京ひゃくけいキロメートルにも及ぶ。

 京って、一十百千万億兆京の京だろ?

 どれだけデカくすりゃ、気が済むんだよ?


 それはさておき。

「○ンダムプロジェクト」が始動してから、完成まで一年一ヶ月。

 総製作時間、一〇二時間四〇分。

 総制作日数、一〇〇日。

 制作関係者、約一五〇人。

 総工費、一億三五〇〇万円にも上る。


 実際に操縦するとなると、さらに内装を整えなければならない。

 そうすると、どれだけの年月と人員と費用を、掛けることになるのだろう?


 そんな超高級・超高性能なロボット同士で戦うなんて、とんでもない話だ。

 これを言ってしまうと、ロボットアニメや特撮を全面否定することになる。


 そういえば、某重工業の社長が二足歩行の巨大ロボットに憧れるあまり、実際に作ってしまったという話がある。

 巨大ロボットは、男のロマンだからな。

 憧れるのも無理はないし、大きなお友達がいるのも頷ける。


 でもあれは、二足歩行というより、二足摺にそくすり足だった。

 しかも、ゆっくり歩くのが限界で、走るなんてもってのほかだ。

 それでも、操縦士に掛かる振動は、結構なものらしい。

 二足歩行ロボットだと、どうしても操縦士に負担が掛かりすぎる。

 常に、震度五以上の縦揺れと横揺れの中で、操縦することになるらしい。

 操縦士は、酔い止め必須だな。


 ロボットに二足歩行をさせる為には、体重移動が相当難しいらしい。

 科学者達は何十年もかけてようやく、二足歩行ロボットを完成させた。

 それを人間は、生まれて一年程で出来るようになる。

 そう考えると、人間の身体は実に良く出来ているものだと、感心せざるを得ない。


 まぁ、ともかく。

 世界は確実に、過去の人間達が夢見た未来へと繋がっている。

 もしかすると発表されていないだけで、巨大ロボットは出来ているのかもしれない。


 つまり、だ。

 オレが言いたかったことは、今は無理でも、いつかは夢の巨大ロボットが出来るかもしれないということだ。

 ここまで結論付けるまでに、ずいぶん掛かってしまった。


 ゲームやアニメの中では、ロボット大戦なんてものがあるけれど、それってやっぱりゲームやアニメだからなんだ。

 そうじゃないと、おかしいと思っていた。

 でも……この現実はなんだ?

 今、目の前で、ロボット大戦が繰り広げられている!

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