第17話 改革の行く末を案じて・・・

 この後何人かの女性から手が挙がり、受けた質問を吉村保母が回答した。

 街中から幾分離れた郊外の丘の上に移転したよつ葉園の現状を知った、かつての地域住民の方々は、一様に、納得しつつもいささか複雑な思いを抱かずにはいられなかったようである。


 最後の質問に、吉村保母が答えた。


 現在、よつ葉園には3年後の大学受験に向けて頑張っている男の子がいます。今回の高校入試で残念な結果になり、現在定時制高校に通っていますが、数年前にテレビドラマになった「大検」という制度を利用して現役でO大学に合格すべく、頑張っています。

 定時制高校は4年間行く必要があるようですが、彼にはそんな気は一切ないようですね。高校も、大検受験をむしろ勧めていると聞いています。

 園長の大槻は、今年は様子見ということで、彼の担当の保母とその寮の児童指導員に任せているようですが・・・、

これは私の個人的な意見ですが、そのような丸投げはいずれ行き詰まるのではないかと思われます。大槻は何もそんなことまでと、来年の高校再受験を進めているようですが、彼には、そんな気はまったくないようです。

 

 今日質問していただいた寺田さんがいささか触れておられましたが、大槻が園長になって、確かに、よつ葉園の改革は急ピッチで進んでおります。それは確かに、今の子たちにとってプラスになることが多いようには思います。

 とはいえ、古いものを一気に捨て去っていくような勢いさえある状況の中、これも私個人の勝手な印象かもしれませんが、その改革を進めている大槻さえも、かの入所児童の男の子のさらに先をいくような勢いには、ついていけていないところさえ見受けられます。

 それが良いことか悪いことかは、あえて申上げません。

 ですが、よつ葉園は、かつて津島町の地にあった頃以上に、先駆的な養護施設としての道を歩んでいます。

 移転した今の地で、以前のこの津島町にいた頃のような信用を地域の皆様から頂くようになる日は、時間はかかるかもしれませんが、必ず来る。

 私は、そう信じています。


・・・・・・・ ・・・・・ ・


 この日のイベントは、無事、終わった。

 また2週間後に、この地で開催されることも決まっている。

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大人のための保母さんに 与方藤士朗 @tohshiroy

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