独立国家 サツマニアン

朝霞まひろ

独立国家サツマニアン 爆誕!!

 今は昔。私たちの国は「ニッポン」と呼ばれていた。

 世界の中で、最も安全な国と呼ばれ、世界で唯一、戦争を放棄した国だったそうだ。

 そんな国はあるウイルスによって崩壊した。

 

 「サツマニアン・ウイルス」


 ウイルスというと、何か凶悪な怖いもののように思われるかもしれない。けれども、実際はめっきり悪者というわけではなく、むしろ善玉菌みたいなものだ。このウイルスに感染すると、やけに身体が強くなり、病気やケガの心配がなくなる。あとは、前より犬が好きになったり、サツマイモが好きになるくらいだ。

 

 では、どうしてサツマニアン・ウイルスに「ニッポン」は滅ぼされたのだろうか。


 そう。サツマニアン・ウイルスの怖いところは、感染すると薩摩藩士のようになってしまうのだ。出身地域に関わらず、列島出身ならば、感染すると徐々に薩摩藩士になってしまうのだ。

 普段は規律を重んじ、真面目で冷静沈着、現実的だが、いざ戦いになると武士道精神に基づき、勇猛果敢に戦う。そんな薩摩隼人たちがウイルスによって再誕したのだ。

 サツマニアン・ウイルスは、はじめに当時の鹿児島県の薩摩半島で広がったらしい。しかし、最初は、感染したか分からないほど穏やかだったそうだ。彼らは、それぞれの所属する組織や会社に規律正しく真面目に勤めていた。それが、ある事件をきっかけに彼らは革命を起こしたのだ。

 

「……えー。記憶にございません。」


 時の首相、徳田良々の税金横領事件が発覚したのだ。総額50億円も下らないと言われた横領額は、首相個人だけではなく、日本政府の信頼を失墜させるには申し分なかった。特にサツマニアン・ウイルスの感染者たちは、そんな言い訳をする首相に烈火のように怒り狂い、集団が形成されるようになった。彼らは「日本復古」をスローガンに大きな集団となっていった。

 

「おいどんらは、まこて良か時代の日本ば取り戻すけ!もへ政府どんはわってん信用できん!そいじゃが、にけ政府ば、おいどんらが作っど!」

「キイエエエエェェェェェェェ!!!!」

「チェストォオオ!!」

 

 こうして、薩摩隼人たちは、瞬く間に九州を武力制圧。自衛隊の最新鋭の武器もすべて気合で薙ぎ払っていき、最後の東京大決戦をへて、政府転覆を成し遂げた。

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