いいわけなんてしていない

とりあえず 鳴

第1話

 僕には彼女がいる。


 その彼女に「別れよう」と言われた。


 僕はもちろん理由を尋ねた。


 そしたら「私以外に付き合ってる子がいるのに何で許されると思ったの?」と言われた。


 確かに僕には他に付き合ってる子がいる。


 でもそれには訳がある。


 可愛いのだ。


 可愛いから僕は告白した。そしたら了承してくれた。なら付き合わない方がおかしくないか?


 それを伝えたら「言い訳にもなってない」と平手打ちされた。


 僕からしても言い訳なんてしたつもりはない。


 だいたい言い訳とは、自分の悪いことを正当化する為にすることで、僕は何も悪いことをしてないのだから、言い訳する必要がない。


 僕はただ好きな子に好きと伝えただけ。


 それの何がいけないのか。


 僕は好きを伝えただけだ。付き合うのを決めたのは僕じゃない。


 付き合いたいと言ってきたくせに、いざ自分の不都合なことが起こると殴ってくるような人ならこっちだって嫌いだ。


 だから泣きながらこちらを気にして走り去るあの子を止めることなんてしない。


 最初から止めてほしくてやってるような人はろくな人じゃない。


 あんな人を好きになった僕がおかしかった。


 次からはああいう人は好きにならないように気をつけなければ。


 ああ、ほっぺたが痛い。


 何より暴力を振るう女なんて一番駄目だ。


 そうやって暴力を簡単に振るう女は家庭を崩壊させる。


 まぁ僕は誰かと結婚する気はないからそんな心配はしなくていいけど。


 もしするとしてもああいうバイオレンスな人は絶対に避ける。


 あんなのに引っかかったら身体が持たない。


 もうあんな女のことは忘れて次に会う子の所へ向かわなければ。


 今日はとても忙しいのだ。何せ僕が付き合っている四人の彼女全員に呼び出されているのだから。


 まぁその内の一人は今彼女じゃなくなったけど。


 そんな些細なことは忘れて次の子のとこに向かう。


 でもこの男は知らない。


 今日全員の彼女から平手打ちをされることを。

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