いいわけしながら

木曜日御前

とある私の独白


 カクヨムの通知欄。何か来てると開いたら、それはフォロワーの近況ノート。

 昨日上げた小説。

 しかし、ただただ黄色と黒の文字だらけ。赤色応援も、青色星レビューも、緑色フォローも、その中には混じっていない。


「ま、まあ、みんな忙しいもんね」


 誰に聞かせるわけでもない、いいわけ。

 通知欄を閉じて、続きを書く。面白いと思って、信じて、書いて、世に出した小説。

 でも、本当に面白いのだろうか。


「大丈夫、大丈夫、私のために書いてるものなんだから」


 震えそうになる指を無理やりキーボードに押しつける。

 しかし、私のためと言いながら、他人が読める小説投稿サイトに投稿してるなんて。大いなる矛盾。それでも、動こうとしない指に必死にいいわけをする。


「私のためだけど、誰かこの小説を求めてるかもしれないから。いいんだ、サイトの方が私も読みやすいし」


 なんとか動く指。余計なことを考えるな、今は目の前の話に集中しろ。


 しかし、また来た通知。ついつい気になって開くと、仲良くしてくれてるフォロワーの作品が更新された。


 勿論、読む。面白い、とても面白い。

 なんでこんなに面白いのか。

 応援ハートとコメントを送る。星は前に送ったから。

 あ、こっちの作者さんも更新した。あ、こっちも。

 なんで、皆、面白い作品を書けるのだろうか。

 本当に面白い。とても、面白い。

 でも、私はどうなのだろうか。


 SNSを開く。

 有名な作者が「私は自分の作品を面白いと自信持ってるから書けるんだ」と言っていた。


 とっくに止まったキーボードを打つ手。

 目の前の原稿はまともに進んでない。

 私の作品は、面白いのか。常に自問自答、自信なんてない。


「プロットが曖昧だから、魅力的なキャラがいないから、推敲出来てないから」


 欠点だけが、口からぽろぽろと出てくる。

 でも、それでも、書くのを辞めることができない・・・・・・・・・・


「書くのが好きだから、辞めたくない」


 今日も私は、いいわけをしながら書いている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いいわけしながら 木曜日御前 @narehatedeath888

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ