ペナルティ

夏生 夕

第1話

月曜


最悪。

たかだかピアスでさぁ。貴重な時間を奪うな。

夏休みも図書室が開いてんの知らなかった。別にどうでもいいけど。


図書委員の子、名前なんだっけ。



火曜


まだほとんど会話してない。本の戻し方と貸し方聞いたぐらい。

ただ並んで座って退屈。

どうせ、わたしがちゃんと登校してるか確認させられてるだけだろう。



水曜


外から運動部の声がする。あっついのによくやるな。

図書室は涼しい。そこだけ良いとこ。

隣はずっと本読んでる。わたしだけ暇で、ちょっとムカつく。

夏休みも意外と図書室を使う人が多い。そこかしこで開かれる本本本。

仕方ない、わたしも読むか。



木曜


昨日の本がそこそこ面白かった。続きを手にして戻る。


「それ、違うよ。」


喋った。


「それは4巻。3巻は貸出中みたい。」


まじか。


「それが好きなら、これもお薦め。」


と違う棚から一冊渡された。



金曜


「昨日の面白かった。」


「良かった。」


「他は?」


「え?」


「他のお薦め。まだ3巻返ってこないから。」


「休み中には戻らないかもね。

昨日の本と同じ作者のこっちは?」


「ん。ありがとう。」


「どういたしまして。」



土曜


「雨降ってるしさぁ、誰も来ないでしょ。」


「どうかな。

今のうちに返却本の整理。」


「はー、よくやるね本当。」


「一週間だけだし。」


「そうなの?わたしと一緒か。」


「メンバーで交代制。じゃないとわたしの夏休み無くなっちゃうよ。」


あ、えくぼ。



日曜


「は?この本破れてる。」


「本当ね。表紙だけか、貸して。私が、」


「ったく綺麗に読めよ。セロテープでいい?」


「やってくれるの?ありがとう。」


「別に!

あ、最後に借りたの誰?学校始まったらぶん殴ってくるわ。」


「ふふ。やめてよ、その人かも分からないし。」


「でもさぁ」


「ありがとう。」


「なに。」


「一週間ありがとね。お疲れさま。」


「うん。」


「じゃあまた。

もう来ないか。」


「まだ3巻読んでないし。またね。」


「うん、また。」

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