とても面倒くさいけど、そこも好き

米太郎

お弁当を食べながらの一コマ

「私のどこが好き?」


俺の彼女の彩香あやかはちょっと面倒くさい。


バレンタインデーに告白されて付き合うことになったんだが、今日がホワイトデーだからって、愛の言葉を求めているらしい。


教室でそんな話。

弁当くらい静かに食わせて欲しいのだが……。



「見た目がすごく好みだよ。とっても可愛い」

彩香あやかは少し照れている。


「頭も良くって学年でも成績上位だし、とても努力家なんだなって思うよ」

「うんうん」


「運動神経も抜群に良くて、陸上400mで全国大会に行くのって学校で初めてじゃん」

「ふふふ、それは私が頑張っているからね!」

彩香あやかは満足気にしている。


「それで? もっと言って?」

好きで付き合ったわけだけど、若干面倒くさいな……。


「友達もたくさんいて、後輩からも慕われているところも、人間ができているんだなって思う」

「もっと!」


「思ったことを貫く、心の強さもあるよ。そういうところも尊敬している」

「えへへ。あと一個くらい!」


さすがに言うことが無くなってきたぞ……。

今まで言ったのと、同じようなことを言っても満足しないだろうし……。


としているところも好きかな。ツンデレ的な」


「……そうなんだ」



……あれ? なにやら反応が良くない。

地雷を踏んでしまったのか……?


彩香あやかは急に立ち上がって大声を出した。


「そんなに褒めてもらっても嬉しくないんだからね! ばっかじゃないの! 私があんたを好きなわけないんだから! 勘違いしないでよね!」


そういうと、教室から出て行ってしまった。

急にフラれてしまったのか。

弁当もそのままにして。参考書も忘れて行って……。

あれ? 参考書じゃなくて、心理テストの本だ。

付箋まで貼ってある。


――7番目に言うところが、本当に好きなところ。


……なるほど。彩香あやかは急にツンデレになろうとしているらしい。

面倒くさい不運が舞い込んできてしまったようだ。

やれやれ……。


そういうところも可愛いけどな。

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とても面倒くさいけど、そこも好き 米太郎 @tahoshi

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