Episode 1 最愛Ⅱ

しばらくして、私は好きな人ができた。


笑顔が素敵な先輩だった。

私が入部していたパソコン部繋がりの、文化系の部の先輩だ。

しかし、彼には付き合っている人がいた。

噂で聞いて、この目でも見た。

私の恋心は冷めた。不思議と未練を感じられない自分がいた。


二年生になり、クラス替えがあった。

とあるクラスメイトを好きになった。穏やかな声の人だ。

告白をした、フラれた。

けれども傷つくことは無かった。

少々気まずくはなったが、最終的に友人ということで落ち着いた。

傷つけなかった。と言うのかもしれない。


また好きな人ができた。ずいぶん私は移り気だなと自ら呆れた。

廊下を曲がって、昼休みの教室に足を踏み入れる。

『__は……が好きらしい。』

好きな人がいるのか………。

それを聞いて、何かが消えた。あれが恋心だったんだろうか。

その人は綺麗な目をした人だった。


書いていて、気づきました。

何かがはまってないんです。ズレています。上手くいって無い。

変です、妙だ。何かが違う。

あの笑顔も、あの声も、あの瞳も。何もかもが何かと違う。

彼らは足りないのです。何かと……………

何かと?それはいったい、何と?

いや、…………誰と?



あぁ、………。



あぁ、……そうだとも。

君の笑顔は柔らかだ。君の声は穏やかだ。君の瞳は煌めいている。

なんとありふれた褒め言葉だろう。

そうだ、君は彼らの素敵を、全て持っている。

君はじゃなかったんだ。友人なんて、とんでもない。

君は、ひどい人だ。

私の心を埋めて、住み着いて、絡みついて、包み込んで、離さないで。

私は代替品を求めるほどなのに君は平気な顔をしているんだ。

あぁ、一緒に溺れてくれたら。いや、それはいけない。

君には幸せでいてほしいから。

あぁ、この気持ちに気づいてくれたら。いや、それもいけない。

君は優しいから。きっと振り払えなくなってしまう。

ダメだ、ダメだ。ダメなんだ。


君には嫌われたくない。君には傷つかないでいてほしい。

君が幸せなら、私はいくらだって傷つこう。

あなたの隣にいる権利だけ残しておいてくれれば、私はきっと、満足だから。

君は大切な人さいあいだから。

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