アンラッキー7 そこに電話をかけてはいけなかった

KKモントレイユ

アンラッキー7 間違えた電話番号

 一日の仕事を終え帰ってくるとポストにピザの宅配のチラシが入っていた。いつも捨てるのだが、たまにはピザもいいかと思い、書かれている電話番号にかけてみた。

「もしもし」

女性店員だろうか。気のない声。普通、明るく店の名前を言うんじゃないか。

「ピザをお願いしたいんですけど」

「うちはピザの店じゃありませんよ」

「すみません。間違えました。すみませんでした」

私は電話を切った。番号を確かめると最後の番号が「5」なのに間違えて「7」でかけていた。


 数日後、見かけない電話番号から着信が入っていた、会社の人からの電話かもしれないと思いかけ直す。

「もしもし、川田ですが」

営業の仕事柄、自分の名前を名乗ってしまった。

「もしもし」

聞き覚えがあるような、ないような女性の声が受話器から聞こえてきた。

「もしもし、え、と、着信が入っていたのでかけ直したのですが」

「今からあなたの家に行ってもいいですか」

「え? どなたですか? 番号間違えてませんか?」

電話が切れた『なんなんだ』と思ったが、少しして、またスマホが鳴る。

「もしもし、今あなたの家に向かってます」

電話が切れた。

 私はスマホの履歴を調べてハッとした。前にピザの宅配と間違えてかけた番号だった。


 数分後、また、かかってきた。

「もしもし、この前は間違えて謝ったじゃないですか。もうやめてください」

「あなたの家の前に来ています」

「え?」

ドアのロックはしてある。

 スマホの受話器からカチャっとドアを開ける音が聞こえた……が私の家のドアは閉まったままだ。

「うわああ」

男性の声が聞こえたかと思うと静かになった。何が起こったかわかった気がした。


 次の朝、都内のアパートで男性が殺されたというニュースが流れた。私は急いで警察にその番号を届けようと思った。

 そのとき、また電話がかかってきた。恐る恐る電話を取ってみる。


「川田さん、今あなたの家の前に来ています」

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