第10話・殺戮の饗宴

「うま、うま、この串焼きのタレと肉の油が最高にマッチしてるね。おっちゃん、最高だよ」

「坊主、嬉しいこと言ってくれるじゃないか、よし、1本おまけだ」

「ありがと、おっちゃん」

 肉の串焼きをもう1本受け取ると、他の店を探して市場を歩いていく。


「あそこのケバブお美味しそうだな」

「おっちゃん、ケバブ一つ」

「あいよ、大銅貨3枚だよ」

 ポケットからお金を出すふりをして、空間魔法・異空間から銀貨を1枚取り出した。


「はい、銀貨1枚」

「あいよ、じゃあ、お釣りの大銅貨7枚とうち自慢の特製ケバブね」

「お~、野菜がシャキシャキしてて、肉は油少なめのさっぱり系、それをちょっと辛めのソースで味付けしてあって、実に合う、旨い」

「旨いだろ、坊主」

「うん」


「そうか。そうか、じゃあ坊主良いこと教えてやろう。ここをずっと貧民街の方に真っすぐ行ったところに世界一美味しいケバブ店があるんだ。その店主は俺の師匠なんだが、本当にそのケバブは美味いんだ。ちょっと貧民街に近いが師匠は強いし優しいからな坊主一人でも余裕で行けるだろう」

 なるほどね、世界一美味しいケバブ店か、それは、行くしかないな。

 俺は自分でいうのもあれだがかなり強いし(一人で小国どころか普通に大国すらも滅ぼせる程度)、貧民街がどうとか恐れるか。さあ、美味しいケバブを食べに出発進行だ。


 てくてくてくてく


 大分進んだな。しかし、風景があの活気あふれた市場から寂れた場所になったな、ちょっと怖くは・・・ないかな。むしろスリルっぽいものはあって楽しいくらいだ。最悪何かあれば全部ぶっ殺せばいいしね。

 しかし、貧民街か、なんか、貧民街に用事があったような無かったような気がする、まあいっか。後で思い出すだろ。


「お、あった、あった、世界一美味しいケバブ店ってハタぶら下げている店、うん、凄い目立つようにハタぶら下がってんな、それだけケバブに自信があるってことか」

「すいません、世界一美味しいケバブ下さい」


 バキ


 そう言った俺に返って来たものは背後から木材を使った殴打だった。

 まあ、俺頑丈過ぎるから木材が折れたけど。


「な、こん棒が折れただと」

 木材じゃなくてこん棒でしたか、あんま変わらない気もするけど。

 しかし、貧民街近くだけあって治安悪いな。


「この化け物め死ね~~~」

 背後から襲ってきた男が懐からナイフを取り出して襲いかかって来るが、手に魔力を纏わせてナイフを掴みへし折る。

 へし折ったナイフを手に持ってそのまま相手の顔面に向けて突き刺して殺した。


「ひ、ば、化け物」

 そう言ってケバブ店の店主が逃げ出す。


「ちょっと待ってください、逃げないでくださいよ店主、俺に世界一美味しいケバブを食べさせてくださいよ」

 俺は逃げた店主に追いつき首根っこを掴み止めてそう頼んだら。

 土下座されました。


「ひ、すみません、嘘なんです、世界一美味しいケバブとか嘘なんです、そういう誘いで子供を攫って身代金を請求したり、奴隷にして売ったりする為の嘘です」

「え、じゃあ、あの美味しいケバブの店主もグルってこと」

「はい、そうです、色んな露店の店主に金を握らせてカモになりそうな子供をここに誘導するようにしているんです」

「まじか、衝撃の事実だな。そうか嘘だったのか。どうするか?よし決めた殺そう。お前子供を攫って食い物にしているクズだろ、生きる価値なしだ」

「ちょっと、待ってください、命だけは」

「破壊魔法・頭部」


 クチュ


「ハア、嫌な目にあったな。食欲も失せたし帰りますか。あれ、帰る?ん?何かを忘れているような、俺は何で外に出たんだっけ、えっと、えっと、あ、そうだ、思い出したよ。公爵家に呼ばれてたんだった。場所は確かスラム街の4番地の一番大きい建物だったよな。よしせっかくだし行ってみるか、なんかあったとしても俺に勝てる存在なんて中々いないだろう。ついでに食後の運動にもなるな。というわけで歩きますか」


 てくてくてくてくてくてくてくてくてくてく


 歩いてみて思ったがメチャクチャ治安悪いなこのスラム街。

 そこら中に死体が転がっているし。何か臭いし、浮浪者めっちゃいるし、めっちゃ襲われるし。

 まあ全員殺してるけど。どうせスラム街で子供を攫おうか殺そうとして襲いかかって来るクズ共だ殺した所で何の問題もあるまい。

 さてと。結構歩いたし、そろそろ4番地の一番大きい建物に着くな。


 そうして歩くこと1分。ついた場所にはガラの悪そうな男共が数十人ほどいた。


「うわ、本気で来たぞ、あの貴族の坊ちゃん」

 そんでもってそのガラの悪そうな男の一人がそう言ってナイフを俺に向けて来る。


「じゃ、怨みはないけど、あんたを殺す。これも依頼だから悪く思うなよ。グへへへへ」

 そう言って下品な笑い声を響かせながら俺に近づいてくる。


「破壊魔法・人体破壊・頭部」


 グチュ


 そして俺の魔法により頭がはじけ飛び死亡した。


「お前。今の魔法はまさか禁忌魔法」

 一人がそう呟く。あちゃあ、バレちゃったか。まあどうせ皆殺しにするつもりだったしいっか。


「ああ。そうだね。まあそれを知った所でお前らは死ぬだけだが。闇魔法・闇槍」

 俺は闇の槍を生み出して投擲する。


 グサ


 闇槍はいとも簡単にクズ共を串刺しにして殺す。


「ひぃ。聞いてないぞ。こんな化け物が相手なんて」

 何人かがそう情けない声を出して、逃げようとする。まあ逃げようとしても俺相手に逃げれるわけがないけどね。


「闇魔法・闇矢」

 闇で作った矢を放ち逃げようとした人の頭を全部打ち抜く。


「うん。弱いな。弱い弱い。さてと面倒だしサクッと終わらすか。死魔法・抗えぬ死」

 そうして俺は俺を殺そうとしてきたクズ共を皆殺しにした。

 因果応報、自業自得って奴だ。

 心はちっとも痛まないね。


「さてと。一応生き残りがいないか。質疑応答に質問するか」

 質疑応答質問だ。【今回、俺を襲ってきた奴もしくは俺の様子を監視していた奴で逃げる。もしくは生きている奴はいるか?そんでいたらそいつは何処だ】

 1100ポイント消費します。

 はい。います。

 暗殺ギルド二つ星で監視のノゾキという男が所有者の様子を監視していました。そして今所有者様の圧倒的な力を目にして逃げています。


 そうか。なるほどね。質疑応答に質問してよかったわ。俺監視されてましたか。さてとじゃあそいつも殺さないとな。

 でも。どうやって殺すか?いや待て、そういえば暗殺ギルドの二つ星って言ってたよな。俺暗殺ギルドの四つ星だし。これ強制命令で呼び出せるんじゃないか?

 俺はさっき貰った暗殺ギルド四つ星の証を取り出す。


「おい。暗殺ギルド二つ星の監視のノゾキって奴。暗殺ギルドの四つ星を持つ俺が命ずる今すぐ俺の前に来い」

 俺はそう言って試しに大きな声を出してみた。

 多分これで来るはずだ。


 待つこと数分


「は。暗殺ギルド二つ星・監視のノゾキただいま参りました」

 そう言って全身黒ずくめの明らかに怪しいオッサンが俺に跪まずく。うん凄いな暗殺ギルド四つ星の力。

 つか。こいつどうしよう。殺すつもりでいたのだが、こうして俺の命令に絶対服従の所を見るとわざわざ殺さなくても大丈夫そうだな。むしろ情報収集に使えるんじゃないか?

 よし決めた。情報収集に使いますか。コイツは隠密と監視に長けているらしいし。俺に暗殺者を差し向けた公爵家の弱みでも握ってもらうか。


「おい。命令だ。俺を殺そうとした公爵家の弱みを握ってこい」

「それでしたらもう既にございます」

 まさかの答えが返ってきた。もうあるって凄いな。これは俺の想像以上に凄い人材かもな。


「そうか。それはありがたい、じゃあ早速その弱みを教えてくれ」

「はい。今の所私が持っている情報ですと。賄賂・脱税・暗殺ギルドを通じた人身売買に違法な人体実験です」

「わお。それは中々に凄いな。じゃあその情報をまとめて至る所にばら撒いてこい、あ。流石に一人じゃ厳しそうだし手駒をあげるよ。死霊魔法・死霊生産」

 丁度俺に殺されたばかりの死にたてほやほやの死体を使って死霊を生産する。

 因みに普通の人が作っても弱いが。俺の様に莫大な魔力を持つ者が作れば、生前と全く同じ行動が出来るし、死霊同士や主である俺にいつでも念話が出来るし、身体能力にいたってわ生前の数倍まで跳ね上がる。

 それでいて絶対服従で腐らず永久に稼働が出来る。まあようは超絶便利な駒だ。


「ほい。この死霊達自由に使ってどうぞ。死霊達もそいつの命令をよく聞くんだぞ。じゃあ後は頑張ってくれ」

 俺はそう言ってその場を去った。

 ついでに歩いていたら、当たり前のように襲われたので全員殺して死霊にして、さっきの監視のノゾキの手伝いをするように命令を下しておいた。

 そっからまあスラム街を抜けてお腹が減ったので買い食いをしながら家に帰りました。


 めでたしめでたし。

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生まれた瞬間禁忌確定 最強最悪の魔王へと至る道 ダークネスソルト @yamzio

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