七七七は傷

羊蔵

七七七は傷



 七に呪われた。


 きっかけは廃墟探索だった。AとBの三人で出かけた。

 元病院だったという廃墟で、考えてみれば最初から変だった。

 荒れていないし、七のつく病室はすべて封鎖された上で七の字が削られていた。他にはカラの缶詰をいくつも見つけた。

「誰かが住んでるんじゃないか?」

 Aがいったとき、何かが横切った。

 猫だった。

 俺らはほっとして、しばし猫と遊んだ。

 猫好きの癖にBは何故か近づかなかった。


 死体を見つけたのは、そのすぐ後だった。

 臭わなかったから死んですぐだったと思う。それともまだ息があったのだろうか。

 逃げたので分からない。


 帰る途中で当て逃げされた。

 大した衝撃はなかったが、どこで引っかけたのか全員切り傷を負った。

 傷口は逆さまになった「七」の字に似ていた。

 三人供だ。

 Bは気味悪そうにこういった。

「廃墟で猫の舌を見たんだ。七って刺青してあった」

 その時は信じなかったが、真実だったと今では思う。


 それから七に呪われた。

 支払額777のレシートを持ってコンビニから出たところで、階段から落ちた。

 三〇七号室の男に殴られた。

 777と打ちこんだ直後、携帯が炎上した。

 Aは事故を起こした。Aの車のナンバーには7が二つも入っていた。

 その他にも色々続いて、これは七の呪いなのだと考えるしかなくなった。

 俺は絶望した。


 虹。七時。七日。七月。七号線。七番目の信号。二七歳。

 今後こうしたものから逃げ続けなくてはならない。

 AとBには合わないことにした。「七の傷」が三つも揃えばどんな不幸が起こるか知れない。


 俺は廃墟の男の事を理解した。

 間違いなく彼にも「七の傷」があったのだ。だから七のない住み処を作った。

 そしてあの「七の猫」に会った所為で死んだんじゃないか。

 あるいはあの猫が呪いの根源なのか。


 俺はあの廃墟へ逃げようと思う。

 でもAとBも同じ事を考えるはずだ。

 生きるために、まずあの二人を何とかしないと。


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