齢20のショートショート集 (更新不定期

語感つづる

きっと馬鹿げた結びつけ

 どこに行っても、空の流れは変わらなかった。


「ねぇ、知ってる?年を取るほど体感時間は早くなるんだって」


 それは、幼いころ、とある少女が言っていた。


「だから、天国はあるよ」


 それに対して僕は尋ねた。


「どうして?関係あるの?」


 彼女は笑いながら空を指さした。


「だって、雲みたいじゃない?」


 高くの雲ほど、早く見える。

 近くの雲ほど、ゆったりと。

 天に近づくほどに早く。


「じゃあ、僕らはまだいけないね。一年がこんなにも長いんだから」


 僕の言葉に彼女がどう答えたかは覚えてない。

 多分、肯定していたとは思うのだが。


 ただ、その直後に土の中行った彼女は、ちゃんと天に昇れたのか。


 気が付けば今日もまた一日が終わっていた。

 最近は一年がやけに短い。




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