第46話 ユーザリア帝国との戦い⑥

―――― 視点切替 ヒビキ ――――


 ユーザリア帝国との戦闘が始まり、戦姫達が相手戦力を半分以下にしていた頃…。


(御館様!申し訳ありません、ボス悪魔より、邪の存在がそちらに向かいました。一体だけですが取り逃しました。)


(了解!大丈夫だ。それに関しては、俺達で対応する。シノブは、悪魔を確実に滅ぼすこと。いいね?)


(承知しました。全力を尽くします。)


 どうやら悪魔は、自分の眷属をこちらに放った模様である。しばらくすると、帝国軍の彼方より飛翔しながらこちらに向かってくる敵を確認する。


「北条 響が発動する!スキル『鑑定』!」


名前 悪魔オプス

年齢 142歳

種族 悪魔ルーナスの眷属

レベル 109

HP 410

MP 350

AT 364

MAT 342

DEF 399

MDEF 362

DEX 212

INT 304

AGI 351

スキル 瞬足 ・ 再生 ・ ダークボール


 悪魔オプスは、漆黒の衣装に身を包み、角や翼、尾といった変則的な体の特徴こそあれど、人間と遜色ない容姿をしていた。


 能力を確認すると、俺やジュリアよりも格段に能力は高かった。戦姫達には、中央の軍団の対応をお願いしており、こちらにさく戦力はないだろう。俺とジュリアは、協力して何とか対応するしかなさそうだ。


「ジュリア。俺と二人であの悪魔を倒すしかなさそうだ。行けるかい?」


「は、はい!頑張りましゅ!痛たた…舌を…。」


 ジュリアは、かなり緊張した様子を見せている。彼女にとって、戦争や戦闘に関する経験もなく、また目の前に現れた者が怖ろしい悪魔であるということもあり、それは無理もないことである。


「ジュリア。俺がメインで戦うよ。ジュリアは、能力強化魔法や、回復魔法、遠距離の攻撃魔法など、サポートをして欲しい。」


「任せてください。」「アタックアップ!」「スピードアップ!」「プロテクト!」


 ジュリアは、いとも簡単に能力向上の魔法を連続詠唱していた。流石は、賢者のジョブである。


 俺の能力は、武器の補正に加えて、アタックアップによる攻撃力の向上30%、スピードアップによる俊敏性の向上30%、プロテクトによる防御力の向上30%が適用された。その結果、私の能力値は飛躍的に向上した。


名前 ビビキ

真名 北条 響

年齢 18歳

性別 男性

種族 人間族

ジョブ スマホマスター (ランク外)

冒険者ランク D

レベル 42

HP 106 (+120 )

MP 86 (+100 )

AT 91 (+183)

MAT 86 (+20 )

DEF 86 (+207 )

MDEF 86 (+140 )

DEX 91 (+20 )

INT 96 (+20 )

AGI 86 (+181 )

顕現コスト 50

スキル スマホ召喚 ・ 異能アプリ ・ スマホフィルター ・ 戦姫解放 ( SR ) ・ 通販サイト ・ ストレージ内アイテム解放( レア ) ・ 修練共有

装備品 グレートソード(R)バトルコート(R) バトルブーツ(R) 天使の涙(R)

装備スキル 剣術の素質(レベル1) 温度調節 防汚 疲労軽減 修練の奇跡 (上限50レベル) 


 しかしながら、相手の能力に比べると、俺の能力が劣ることは否めない。それでもここで俺達が踏ん張らなくては、侯爵様方の命が危険に晒されることは避けられないだろう。


「ほう…。ルーナス様の指示で参りましたが、この姿を見ても挑もうとする輩がいるとは驚きです。いいでしょう。相手をしてあげましょう。」


 悪魔オプスは、地に足を着け、こちらを見下ろすようにしてじっと立っていた。彼の顔は驚くべき冷静さと余裕を感じさせる微笑を浮かべており、我々のことなどまるで相手にしていないようだった。


「はぁー!」


 剣を片手に精一杯踏み込み、俺は悪魔オプスに斬りかかった。


Kan!kan!kan!


 オプスも何処からか剣を顕現し、俺の剣を受け止める。渾身の攻撃全てが受け流されて、全くダメージを与えることができないでいた。


「驚きましたね。人間にしては鋭い攻撃や巧みな剣技でしたよ。なかなかやりますね。もしかして、あなたは剣聖なのですか?」


「そりゃどうも。でも勘違いだな。俺は最弱職のスマホマスターだ。」


「スマホマスター?聞いたことのない名前ですね。ですが、最弱職というのは冗談でしょう。その剣技を見ればわかりますよっ!」


Keen!


 悪魔オプスの反撃により、剣先は俺の頬を掠めた。すかさず追撃を仕掛けられ、ギリギリで受け止める。能力差は明らかだが、グレートソードの装備スキル『剣術の素質(レベル1)』が効果を発揮し、何とか耐え忍んでいる。それでも、力の押し寄せに打ち負け、後方へ突き飛ばされた。


「アトミックレイ!」


「うぐぅ…。」


 ジュリアの魔法『アトミックレイ』は、まるでレーザービームの様な高速の光線のような攻撃である。オプスは、ギリギリ気づいて回避するが、右側の翼を貫きダメージを負わせたのである。


「いつつ…よくも!」


 オプスは、嫌悪と狂気を混じり合わせた醜態を晒し、今までの余裕な表情を一掃した。俺への攻撃目標をジュリアに変更したため、俺はジュリアを素早く後ろに移動させた。


Keen!


「うわぁ!」


 相手の剣を受け止めたものの、力負けした為に、剣を押し込まれてしまい、左側の上腕を思い切り切りつけられてしまった。鋭く開かれた傷口から血が滴り落ちている…。


「ヒビキ様!腕が…。」


「大丈夫だよ。」


「全く邪魔しないで貰いたいねぇ。私は、このエルフを先に殺したいんだよ!」


Keen!


「くっ…。」


 左腕にダメージがあるので何とか攻撃を受け流して直撃を回避する。


「ヒビキ様!」


 俺の後方にいるジュリアは、既に回復の対応に入っている。


「ハイヒール!」


 見る見るうちに深手の傷が元通りに塞がっていく…。


「高位魔法だと!?その娘、何者だ?どの道ここで殺して置いた方が良さそうだ。」


(守るだけで精一杯。起死回生の一撃は…ない…。万事休すか…。)


「ヒビキ君。待たせたね!」


「その声は…。」


 ―――― to be continued ――――

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