第18話 人間界

僕は元の世界に戻って来た。早速Bの捜索をはじめた。彼は元高校生。今は高校生3年になっているだろう。彼のゲームが世に出回ったのは僅か半年。たぶん彼は人間だ。それも僕ら、京の人でもなく、なずなのいる境界線人でもない。これはまだ僕の憶測でしかないが、Bは単に遅い中2病だと思われる。人間にはこの時期、能力が曖昧になることがある。自分を人間ではない別の生命体に例えたり。そう思い込んだり。そのほとんど97%がただの人間だ。残り3%は異世界、あるいは地球外知的生命体のことが多い。20世紀初頭まではその割合は99%がただの人間だった。今は割合は高くなった。言い換えると多種多様がこの地球上でも進んでいる。“きっと君も異世界人かもしれない。”僕の悪い癖が出た。話を戻す。仮想世界設立者のB。彼はきっと人間だ。人間の限界に気づいたのだと思う。「“京”には勝てない。」そうだ、その通りだ。B。」しかし、あの年頃の少年、少女の闇は深い。それに曖昧が味方する。境界線への攻撃は“曖昧なもう1人のB”が意識的にその世界で行って、おこなっていると思われる。しかし、それには、やはり、京または境界線の力が必要だ。多分、誰かと接触したに違いない。無意識に行っている可能性も否定できない。まずはBを探すことにする。ここは、みすず、ユイのチカラを借りよう。長のなずなからの命令とあれば、確実に協力してくれるはずだ。翌日僕は長崎支店のへの出張のカステラのお土産を手に会社に出社した。みすずは一番に「ナダ君、ユイと長崎一緒だったのね。聞いたよ。私も誘ってくれればよかったのに。」「一緒なのは飛行機だけであとは別行動だ。特に何もない。」みずずが僕が嫌いな、女子、女子に見えてきた。苦手だ。僕はこの空気感を変えるべく「いいか、みずず、境界線の長なずなからの伝達だ。仮想世界Bの少年を捕まえるように。つまり僕へ協力しろってことだ。いいな。」僕は強めの言葉でみずずに伝えた。みすずは「わかったわ。ユイには私から伝える。それに定期的に境界線からの伝達事項を伝えているし。」「そうか、頼む。そう言ってみずずはいつもの仕事ができる女子の顔に変わりデスクに戻った。早いもので次の日、仮想世界Bの居場所を突き止めた。みずず、ユイ、境界線の連絡網はすごい。ネット社会にもかなり進出、なおかつネット社会を管理しているようだ。「みずず、かなり早かったなBの居場所の発見。」「それはそうよ、こう見えた境界線人はネットにはかなり精通しているのよ。「そう、それは心強いな。それでBは今どこだ。」「かなり近くにいるわよ。去年まで飯田橋近くの男子校に通っていてそこで仮想世界Bを作り上げたみたい。その後退学し今は、春日のマンションで一人暮らしのようだ。ユイは何度かゲーム内で接触しているみたい。ユイが来て「そうよ。私、Bと接触していたのよね。」「それはいつ頃だ。ユイ」「ナダ君、長崎を一緒に旅行した割には冷たいのね。」「ユイ、勘違いするな。僕は僕の用で長崎へ行っただけだ。」みずずが怖い目でなぜか僕をにらんでいる。察したユイは「そうね。行動も別々だったし、そう言えば、ナダ君は最終日のフライトいなかったしね。心配していたけど、結局先に帰っていたのね。ほんとナダ君で失礼な人ですね。」「僕が失礼な人?」えっ?とも思ったが今はいい。とにかく本題にたどり着きた。「ところでBの居場所を教えてくれ。」「今言ったように今は高校を中退して半分引きこもりの状態だ。」ネットではいくつかのネームを持っていて、使い分けてる。」みすずが、「それで、どうやら境界線人に接触したようなの。」「境界線人に接触?」飯田橋のBの男子校G高の近くに二つ女子高がある。そのうちのF高にどうやら境界線人らしき子がいて、Bはその子に電車の中で一目ぼれ、猛烈にアタックしたようなの。」「へーえ今の高校生にしては珍しいいよな。Bはそんな熱い少年なのか?」「違うみたい。ネット系のマニアックな男子みたい。」「そうなんだ。ユイよく調べたな。」みずずが「ユイは、少しストーカー気質があるみたい。」本人のユイも「ナダ君、私と偶然何回あっていない?」僕は偶然橋の上で声をかけられたこと、コンビニで急にあったことを思いだした。「ユイ、人間界じゃ、ストーカーは、いけないことだ。その能力は別の目的で使うように。今回のような人探しにね。」「はーい。」ユイが返事する。みすずが「でも今回はそのユイのストーカー的、情報収集力でBを割り出しできた。いいことよね。」「まあな。それでBの情報で気になることがそのF高の境界線人らしき子だ。」みずずが「ナダも気になる?そのF高の女子。」「まあ―な。名前は”菜”って言ったかな?ねえ、ユイ、名前は”菜”でよかったんだっけ?」「そうよ、”菜”」僕は震えた。まさか”菜”こんな近くにいたなんて。”菜”もうすぐ会える。僕はBのことは忘れ、”菜”のことで脳内がいっぱいになった。今は脳内情報処理が正しく行えない。”菜”今すぐ会いたい。





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