第3話 ホーリーバジルとポーションと

ヒャッハー!

ハーブきたーー!!


Lv2の鑑定眼を使用した結果


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ホーリーバジル(食用)

にんにく(食用)

アロエ(食用)

トウガラシ(食用)

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この4種類が見つかった


確かホーリーバジルは肉の臭み消しが出来たはず


根こそぎ取って生えなくなると困るので、とりあえず間引く程度に収穫した


それでも沢山手に入ったから、思わず満面の笑みになる



神様ありがとう!!



ん?

神様ってシレンか


つまりシレンに礼を言ってる事になるのか


それはそれで微妙な気分になるな…



そうそう

寝転がっていた草、実はあれがホーリーバジルだった


以前、料理の番組か何かで見たものとは姿形が違ったので全然気づかなかった


トウガラシの身も、胡椒の粒ぐらいの大きさで色が緑だった


ニンニクとアロエは形がそのままで皮が紫色で皮を剥いたら、どちらも見知った物だった



これで臭みが多少和らぐのでは?



とりあえず焚き火の前に戻り、収納から残りのトカゲ肉を全て取り出す


石ですり潰したホーリーバジルと少量のトウガラシを混ぜた物を肉に丁寧に揉み込む



もみもみ…っとな



本当はトウガラシを潰したりする時は手袋をした方が良いんだが…ないからな、しょうがない


そして手をしっかり洗って肉を木に吊るして干しておく


これで明日の朝飯に少しは希望を持てるかな?


とりあえず今日はもう疲れたのでさっさと寝てしまおう…


燃えないように、焚き火から少し離れた場所に藁を厚めに敷いてゴロリと横になる


そういえば、さっき小さい猿もいたのだが食用ではなかった



はぁ…美味しい肉が食いたい




翌朝

目が覚めたら焚き火が消えていた


それもそうか、追加で木をくべるのを忘れていたのだから普通は消えるよな


うっかりうっかり…



このジャングルは気温が一定なのか、外の砂漠の様に夜は急激に寒くなったり、日が出ていても異常に暑くなるという事はない



…外?



昨日試しにジャングルの外に手を出したらヤバかったとだけ伝えとく


この国の人間、どうやって生きてんの?

謎だ…



それはさておき


さーて、皆さまお待ちかねの肉ですよー


はい、誰も待ってませんね?



再度焚き火をつけて石に肉を乗せる


そして焼けた肉を、恐る恐る1口…



パクリ



お?


おおっ!?


美味くはない、美味くはないが昨日みたいな吐き気と鳥肌を起こすレベルの臭みはかなり消えている


ただ


「あーでもなんでだろ…まだ苦味が…」


ラッパのマークの薬を口に5粒ぐらい放り込んだような、そんな苦さがある



つまり、かなり苦い



「鑑定眼でちゃんと見たし、毒の苦さとかじゃないと思うんだが…」


分からん

魔法で冷水でも出して暫く漬けとくか?



うーん…あ、そういえば



ボードの調合を開く


まだ調合をちゃんと解放していなかった事を思い出したからだ


もしかしたら、苦味を抑える調味料を作れたりしないか?


並ぶcoming soonのLv1を一括で解放する


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ポーション 下級

解毒薬 下級

防虫剤 下級

:

:

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ポーション…??



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ポーション 下級


飲む、または患部にかけて使用


擦り傷、浅い切り傷、軽度の毒や火傷などの状態異常に有効


・特殊効果

瘴気症(小)の治療に有効

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しょうきしょうしょう…って


そんな胡椒少々みたいな名前読みづらいわ!


そもそも瘴気ってなんだよ?


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瘴気


ダンジョンから発生する毒気

地上の動植物は大なり小なり瘴気症に感染している(一部例外有り)

感染した動植物は特有の苦味を持つ

瘴気症にかかった動植物を食べ続けると瘴気が体内に蓄積され、熱病などを発症する

ダンジョンの魔物や植物は耐性がある為、瘴気症にかかっておらず、食べても無害

ダンジョンの階層を降りるほど瘴気の濃度が高くなる

瘴気は謎が多い為、まだ詳しくは解明されていない…

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「ぶふっ!?」



苦味の原因それかよ!!



でも毒って書いてなかったのに…


あ、もしかして鑑定眼のLvが低いのが問題とかか?


ありえる…


苦味の正体が分かったのは良かったが…これは困った


このジャングルにはトカゲと植物ぐらいしか食べ物がない


そもそも《地上の動植物》って書いてたんだ


アロエやジャングルの外の動植物だって瘴気に汚染されてると考えた方が良いだろう



……そうだ!



ピコーン!と閃く


肉をポーションに漬け込むとか、かけてみたらどうだろ?


軽度の毒なら患部にかけても治療出来るんだろ?


じゃあ肉にかけても効果あるんじゃね?


そして念の為に、食後にもポーション飲めば良いんじゃなかろうか


もしくは水の代わりに飲むとか


よし、そうしよう!


そうと決まればとりあえず、ポーションを作るか


調合から材料を選択する


材料はホーリーバジル、アロエ、ニンニクだった



御三方、有能ですな?



個数を選択するボタンが出たので、とりあえず2個作る事にする


《調合しますか?》


はい、と


調合を開始したら、すりこぎのアイコンと0%と出てきた


時間が経つにつれてどんどん%が上がっていく


きっと100%になったら出来上がるのだろう



チーン



上手に出来ましたー!


じゃなくて…



ポーション、完成!!



両手を前に差し出すと手の上に2つポポンッと、取っ手のない大きめのマグカップのような木の入れ物が出てきた


蓋には重ねられた葉と、葉を縛る蔓が使われている


材料欄を見ると、木材や葉っぱなどが減っていた

なるほどな


液体のまま出てきたらどうしようかと思ったけどそれは杞憂だったらしい


いやースキル様々ですな?



チャポ…



ポーションの蓋を開けると、淡い緑色の液体が入っている


口をつけて少し舐めてみた


「薄味の青汁…?」


例えるならそんな感じの味


鑑定眼で確認しても、下級ポーションで間違いなさそうだ


1つのポーションに小さく切った肉を入れてから蓋をしめ、出来るだけ涼しそうな木の下に置く


「さてと」


漬かるまでに時間がかかるだろうから、待っている間に鍛冶と建築その他も確認する事にした


後回しにしたら、また肉事件の二の舞になりそうだしな


役立つアイテムが他にもあるかもしれないし、ちゃんと確かめないと!



調合・鍛冶・建築その他を一通り全て解放した



ステータスも見つつ、検証した結果なのだが…


調合、鍛冶、建築その他は使うとSPを消費するらしい


魔法はもちろんMP消費


調合とかはMP消費だと思っていたが、どうやら違うらしい


調合は創造Lv1の現時点なら、どれを作っても10SPを消費した


それとSPの回復速度はMPと同じらしい


あと検証中にちょっと問題があった



MPとSPは使いすぎるとお腹が空くみたいだった



はい

空腹に負けてポーションに漬けてない方の、にっがいトカゲ肉をまた食べてポーション全部飲んだよ…


こんちくしょう!


「はぁ…」


無くなったので、今度は多めにポーションを作り置きしておく


収納に入れておけば傷まないし問題ないからな


あ、鍛冶は1つ


建築その他は4つ解放されていた


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鍛冶


アクセサリー 下級


指輪

(ステータスをランダムに付与)

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建築その他


平屋のログハウス

(必要整地面積30坪)


石の土台


菜園 下級


肥料BOX 下級

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アクセサリーは鉱物が無いから一先ず保留


それより見てコレ



平屋のログハウス…作れたんだってよ



俺、昨日なんの為にワラの上で寝たんだ?


いやまだ整地してなかったからどちらにしても家は建てられなかったが…


本当、確認って大事だよな



平屋のログハウスはSP300を消費すれば作れるみたいだ


土台と菜園と肥料BOXも一緒に作成…って、%上がるの遅っ!?


「なら、待っている間に整地作業でもするか」


物があると建てられない様なので、とりあえず30坪分の草木を刈り取って、大きめの石なども一緒に収納へ


そうそう、土台を置かないと家は建てられないらしいぞ


考えてみたら、そりゃそうか


シロアリとか湿気対策は大事だもんな


先に出来上がっていた石の土台を置いて、と


土台の上に、ログハウスを置く場所を設定して……いざ!!



チーン



……その電子レンジみたいな音やめないか?


せっかくの感動が薄まるから


「はぁ…」


音が鳴り終わると同時に、目の前にチャコールグレーカラーの平屋のログハウスが現れた



え、凄くないか?



このスキルと収納があれば、家とか建て放題なんじゃないのか?


材木と石とSPの消費量がえげつない事はおいといて、だが



この細腕と子供の体じゃ家とか建てられないし、スキル様々だな!



あ、一緒に作っておいた菜園と肥料BOXはログハウスの右側の日当たりが良い場所に設置しといた


家の中を見て回ったら後で確認しよう



さてさて…お邪魔しまーーす!!



ガチャ



「おぉ、めっちゃ綺麗…」


入ってすぐ右手に浴室とトイレ、左手にキッチン


見た限り、床は全て石で出来ていた


冬は足元が冷えそうだけど、汚れても目立たないし水掃除しやすそうで良いな


外から汚れて帰ってきた時もすぐ風呂に行けるし


正面奥には石で出来た暖炉もある


これに薪を入れて暖を取るんだな


なるほど


左奥は空き部屋で、右奥は寝室


部屋の中には木で組まれたベッドの上にワラが…


あ、ログハウスを建てていてもワラの上で寝る羽目になってたのか


せっかく屋根のある家が出来たんだし、何かで布とか作れねーかな


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調合


:

:

------


いや、あるじゃん!?


植物を解体した時に出る繊維で作れるらしい


靴だけ皮がいるみたいだが、トカゲの皮でいけそうだ


そう言えば、この部屋と暖炉の前だけは石畳ではなくフローリングだった


何が違うんだ


寒さ対策か?



一通り見て回ったので、次は外に設置した菜園と肥料BOXの確認


ふむふむ、なるほど


肥料BOXは設置している範囲内の菜園に効果があるそうだ


素材にもよるみたいだが、今は主に動物質有機肥料が作れるらしい


最低素材は骨、血、毛、屑肉など


しかもトイレが近くにあれば、有機物も自動的に肥料BOXへ送られるとか


え、凄くね?


そして菜園

こちらもまた凄い


どうやら地上産、ダンジョン産など関係せずに植物が育てられるらしい

しかも驚きの内容が書かれていた


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菜園 下級


植物を育てられる

樹木は不可


肥料BOXと併用で植物の成長スピードと収穫量が2倍になる


毒気に汚染されない

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すぐに鑑定眼を酷使してジャングル中のホーリーバジルやアロエ等を全て刈りに行ったわ


とりあえず収納に入れておけば傷まないし問題無い


うん、足元スッキリ



ピロンッ



何かスキルのLvが上がったらしい


まぁ想像はつくがな



収穫した植物は、収納で毒気に汚染されていない種と苗にする事が出来た


どういう原理なんだか…


とりあえず植えておく


放置していたポーション肉を回収して家に入り、肉はキッチンに置いておく


リビングに備え付けられた6人がけのダイニングテーブルがあるのでそこに座り、ボードを開いてスキルを確認したらやはり鑑定眼がLv3になっていた


スキルLvって意外とすぐに上がるんだな


創造はこんなに使用しても上がらないのに



「あ」


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【名前】無し

【種族】異世界人

【年齢】0歳(6歳)


Lv.1/****


HP:20/∞

MP:500/∞

SP:500/∞

力:20/∞

魔力:****

素早さ:20/∞

命中:100/100

運:100/100


特殊スキル

鑑定眼Lv3/5

創造Lv1/4


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弱体化が解けてる!!


あ、さっきポーションを飲んだからか?


昨日に比べれば、まだ細くはあるものの腕に肉がついてる気がするし


でも、相変わらず魔力はおバグり召されてるな


Lvの横もバグってるし…


ステータスの∞、これはカンストって意味じゃなさそうだよな?


Lvを上げたら無限にあがるとか、そのままって意味だろうか


うーん…分からん



本当にこの世界は分からない事だらけだ



悩んでいたら、ふと気づく


鑑定眼がLv3になったからなのか、自分を鑑定出来る様になっていた


「瘴気症に罹っていないかとか、自分の状態異常でも分かるのか?」


とりあえず興味本位で鑑定してみると


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誘拐された異世界人


アルビアでは稀にしか生まれない

希少な黒目黒髪を持つ者


大昔は黒目黒髪、赤目白髪、長命種、獣人の順に高値で取引されていた


尚、現在では人身売買は一部の国以外は違法である

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……おーい


ちょっと、誘拐ってどういう事ですかー?


神様ー?


シレンさーん??



おーい!!?



え、俺って地球から誘拐されてこの世界にきたのか!?


神様達に?


選ばれましたって言われたからてっきり小説とかでよくある、なにかの拍子に死んで異世界で転生したんだとばかり思ってた


おい神様、誘拐は犯罪だぞ…


神なら良いのか?



いやいや、良くないだろ!!



あとこの世界で黒目黒髪は希少?


昔は獣人や長命種みたいに取引されていた?



うげっ



今は子供だし、力がない間はここに引きこもってた方が良さげだな…


成長してここを出ても、村や街中ではフード必須か?


うーん…


この国が一部に入ってるかは分からないが、子供なんて軽いから物陰からサッと攫われて奴隷落ち、なんてのもありえる



誘拐、ダメ、絶対



あれ?

でも俺すでに神に誘拐されてる…


なんか頭が痛くなってきた


とりあえず服と布を作ったついでに子供用のフードがついたローブも作っておく


出来上がった布はクッション代わりに椅子にかけておいた


直に木の椅子に座ったら臀が痛いし、虚しいかな子供の姿じゃテーブルまで背が足りねえから…



ドンドンドン!!



痛む頭を押さえていたら急に、扉から激しいノック音がした



「!?」



な、なんだなんだ!?


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