第26話 side幸 逃げの一手&side栄 ピンチ脱出

♦︎♢♦︎♢♦︎


熱拳ねっけん!」

幸が叫ぶと、幸の拳が高温を帯びる。


「おっと」

幸はその状態で拳を繰り出すが仮面男は簡単に躱す。


「っち」

幸は舌打ちをしながら5歩下がる。


(こいつどうやったら攻撃当てさせてくれるんだよまじで〜……ん?)

幸は何かに気付き拳を地面に向かって繰り出す。


ズドオオン!という音共に灰色の煙が仮面男の視界を遮る。


(逃げる気か……?けど……)


「この程度で逃げ切れる程遅くないよ僕は!」


仮面男は一気に前進する。


「いった!?」

だが突然前方に瓦礫が出現し止まれずに仮面に大きなヒビが入る。


「つぅ〜」

仮面男はあまりの痛みにしゃがみ込む。


「やりやがったなあんにゃろー……」

仮面男は静かに歩き出した。


♦︎♢♦︎♢♦︎


「まったく……ダメダメですね貴方達は」

栄と強兵は鏡男にやられていた。


「そこの筋肉君はまだ攻撃力が高いからいいとして、問題君だよ眼鏡君」

倒れている強兵を指差しながら男は同じく倒れている栄を側から見下ろす。


(強兵君のあのパンチが効いてなかった……どんな硬さしてるんだよこの人!?)


「角刈り君が戦闘を請負い君がサポート、隙できた所どちらかが攻撃するって作戦はまあよかったですよ?学生の考えにしてはね」


「う……ああああ!」

栄は振り向き鏡男に向かって砂渦を放とうとする


「はいだめー」

が、男の作り出した鏡によって砂渦がそのまま帰ってくる。


「がっ!」


「この第三試験、僕たち泥棒はある程度の怪我を負わせるような攻撃を受験者に

使うことを許可されている。だから必死にバトンを守るよりかは一度渡して後で奪い返すのが賢い選択だよ?」


「渡さないですよ……絶対に」

栄は理解していた、一度奪われれば終わりだと。


万全の状態で挑み敗北、なら一度奪われれば奪還が無理なのは明確だった。


「仕方ない……他行くか」

鏡男が後ろに振り向く。


(今だ!)

「砂刃!」


三日月形の砂が鏡男に迫る。


「あがっ!?」

鏡男はそれをそのまま背中に受けるが倒れかけ一瞬振り返った後そのままいなく

なる。



「つつ……」

栄はゆっくりと起き上がる。


「強兵君、大丈夫?」

「……」


強兵は応答しない。


「おーい強兵くーん!」

栄は今度は近寄って声をかける。


「……」

「こうなったら……」


栄は大きく息を吸う。

「強兵く―――――――――――――ん!」


強兵は一瞬ビクッとなりながらも起き上がる。


「ビックリさせないでくださいよ……」

「ごめんごめん全然起きなかったからさー、あとこれ」


栄はそう言ってバトンを渡した。

「そういえば泥棒の人が見当たりませんが……」


「さっき諦めてどっか行ったよ」

「そろそろ他の場所に行きましょう、いつまでもいるのは危険です」


「だね」


二人は雑談を交えながらその場を後にした。







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江戸の辻斬り、異能力現代社会に転生する 古川一郎 @furukawa1rou

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