　私が場末のデリヘルで働いていた頃の話です。お店で出会った客と外で会っても責任は取れないよと言われていたのに、私は客と仲良くなって外で何度か会いました。その客はたまにスキンシップの激しい人だなあと思うところがあったのですが、私がスキンシップと思い込んでいたものはスキンシップではありませんでした。

　その日、私は宙を舞いました。原因はもろもろの不一致だったのですが、ともかく私は体を持ち上げられて振り回されて投げられたのです。私よりずっと細身の男性だったのに、私の体は宙に浮いて床に投げ出されました。宙に浮く前、頭をボコボコに殴られている最中に「今日のスキンシップは激しいな」と思っていたことを思い出します。そのあと全裸で土下座して連絡先を目の前で消して縁を切ることで命は許してもらえました。あの日こそ死を身近に感じたことはありません。

　それでも私の親よりずっと優しかったのです。お店が終わると一緒にご飯を食べて、入院したら遠くからお見舞いに来てくれて、とても心地のよい言葉をかけられ理解があり、親切にしてくれました。今思えばそれがやり口だったのかもしれませんし単純に私の行動がわかりやすかったのかもしれません。

　当時は自分が悪かったし事情が事情だったので警察に行っても馬鹿にされるのではないかと通報はしなかったのですが、最近知り合った知人からどんな原因があったとしてもそんなに暴力を振るうのは相手がおかしいよと言われて、そうなんだ～となりました。

　当時の私はしばらくの間、ハイエースと彼に似た風貌の男性が苦手になりました。現在はあんまり出来すぎた相手のことは信じすぎないようにしようと思っています。

　最悪。