オワコンと言われるYouTuberが生き残る為にすべきこと

エテルナ(旧おむすびころりん丸)

オワコンと言われるYouTuberが生き残る為にすべきこと

芸能人の参入により厳しくなりつつあるYouTube業界。

前回は今後の展望についてお話しました。前回記事→(厳しくなるYouTuber業界。今後の展望とやるべきこと)


ただえさえ一般人の参入が難しくなる中で、次に訪れる期——


第二期 国際化による日本人の離脱


このビッグウェーブに乗るか吞まれるか。どのような備えをするべきなのか。今後の予測をある程度、根拠を交えつつお話します。


前回の記事に書いた通り、完結に言ってしまえば、やることは海外向けの動画を配信することに尽きます。

単純に世界人口は日本より遥かに多いですから、動画を見れる生活水準という括りを入れても、軽く数倍から数十倍の人間を相手に勝負できます。

海外の伸びた動画の再生数は数千万~億とか、日本では考えられない視聴数を叩き出していますし、チャンネル登録者数も桁違いです。


とはいえ対策を間違えると、あら大変。

全く見られることなく時間を浪費する羽目になってしまいます。

海外向けに配信するにあたり、気を付けるべき点は下記の点です。


①吹き替え動画を作る

②新たなチャンネルを作る

③海外ウケに配慮する



①吹き替え動画を作る


現状すでに、海外に向けて字幕を付ける努力をされている動画を見かけます。本当にご苦労様です。大変な労力かと思います。そんなあなたの努力は…


報われません。


海外の方、特に英語圏の方は――字幕動画に興味がありません。


洋画を見る際、私たちにとってとても馴染み深い字幕ですが、これは弱小言語である日本語ゆえに、特に発達した文化と言えるでしょう。

他の国は日本語なんて使いませんから、世界の映画は主に英語で溢れ返っています。

国内より遥かに多く作られる、英語の映画を日本人が楽しむために、また画面に映す文字数が少なく済む日本語ゆえに、字幕という文化が発達したのです。


ですが英語が当たり前の国にとっては、映画は読むものではなく聞くものです。英語で話しているのが当たり前です。

ゆえにアメリカでは、リップシンクに重きを置きます。

日本のアニメでは口パク動作が当たり前です。しかし単純に口を開いて閉じての繰り返しは、アメリカでは凄く違和感を感じるそうです。

リップシンクとは、キャラクターの口の動きと母音を合わせることです。そうではないと変な感じがするそうです。それほどに音に重きを置いているのです。


フォールス・コンセンサス効果。

これは自分の当たり前が世の中の当たり前だと誤認する心理効果です。古い世代が体罰で叱るのが当然だと思い、しかし新しい世代は体罰が許されないのが当然です。

SNSを知らない世代は直に会って恋人や友人を作るのが当然で、SNSを知る世代はネットを通じて作るのが当然です。

宗教が怪しいと思うのは日本人の当然。トイレが綺麗なのも日本人の当然。律義に列に並ぶのも日本人の当然。

しかし海外の当然ではありません。国民の半数以上が字幕を好む日本は異様であり、また吹き替えが日常なのが英語圏の当然です。


当たり前の違いを認識することが肝要です。


とはいえ、今から英語を話せるように努力するのは厳しいはず。なのでリップシンクは諦めるとして、せめて吹き替え動画にする必要はあります。

音声ソフトを使うでも良し、吹き替えしてくれる外国人を雇うでもよし、SNSで呼びかけるでも構いません。

そのやり方は各人にお任せします。


厳しいようですが、字幕は作るだけ時間の無駄とまで言い切ります。

でないと大部分の視聴者を失うことになり、世界人口の多さを利用するという目的から外れてしまいます。


②新たなチャンネルを作るべし


すでに動画を投稿している方なら分かると思いますが、サムネはとても大事だと思いませんか?

これから投稿する動画のタイトルやサムネの文字を、全て英語に変えてみて、日本人が変わらず動画を視聴してくれると思いますか?


そう、見るはずありません。

タイトルやサムネにパンチラインを乗せることで視聴を稼ぐのは定石であり、それを使わずして動画が伸びるはずがありません。

読めない英語で書かれていては、何を伝えたい動画なのかさっぱりでしょうから。仮にそのような動画を国内向けに投稿している人がいたら、日本人に分かる面白いタイトルや目を惹くサムネを作れよ! ――そう助言するはずです。

しかしそれは逆を言えば…


海外の人は日本語のタイトルやサムネを見るはずない!


ということです。

まずはじめのはじめ、動画をクリックしてくれることすらありません。まずは見てくれなければ始まらない重要性、既に動画を作られている方なら存分に分かるはず。

ちなみに字幕に話を戻すと、【英語の字幕付き】という注釈をタイトルに補足している動画を見かけます。

しかし、それでもやはり視聴を稼ぐのは厳しいでしょう。

日本語、というか海外の人にとっては、訳の分からない言語が目に入った瞬間、その動画へのアクセスは著しく減少します。


ということで、サムネもタイトルも英語に直す必要があります。

つまりは英語版として、別動画を作る必要があるということです。

加えてできるなら、チャンネル自体も全て英語で作った方が良いでしょう。他の動画に導線を広げるなら、そこまで手間を掛ける必要はあります。

既にチャンネル持ってる方は、英語版サブチャンネルの登録だけでもファンに呼びかけるといいですね。


③海外ウケに配慮すべし


前の記事では、芸能人の優位が海外では通じにくいことを話しました。

撮影部隊を駆使した編集力はともかくとして、芸能人の知名度がほとんど通じないのが大きな要因です。


※海外におけるGoogle検索日本人名ランキングトップ10。(2019年)

1位:大坂なおみ(47万3200)

2位:大谷翔平(19万120)

3位:羽生結弦(13万8330)

4位:中邑真輔(9万1180)

5位:宮崎 駿(8万800)

6位:村上 隆(7万2020)

7位:イチロー(6万8730)

8位:近藤麻理恵(コンマリ)(6万910)

9位:錦織 圭(6万200)

10位:本田圭佑(5万9740)


前回記事にも載せましたが、ランキング上位はほぼスポーツ選手か文化人。

加えて知名度の他にも、うますぎる芸人たちのトークが海外では通用しないことが挙げられます。


・芸人ならではの声のトーンや間が通用しない

・コンテクストの壁

・日本と海外の笑いのツボの違い


声のトーンや間が通用しないこと、これは説明するまでもなく分かると思います。

吹き替えですから、そういったニュアンスまで伝えるのは不可能です。

唯一伝わるのは表情でしょうか。芸人でなくてもヒカキンさんみたいな顔芸は、外国の方にも伝わりやすいでしょう。


お次はコンテクスト(文脈)の壁です。

コンテクストとは、その言葉が持つ意味とは別に、共通意識として付加されている情報のことを指します。

以下を参考にして頂くと分かり易いです。


芸人の話題にもよく出る「大阪のおばちゃん」

ヒョウ柄を着てパーマをかけて、元気が良くてお喋りな女性。日本人ならステレオタイプなイメージがパッと湧くはずです。

しかしこれを英語で表現した場合、「大阪在住の中年女性」としかなりません。

また言い方ひとつとっても、おばさん、おばちゃん、オバハン、ババア。

それぞれ少しニュアンスが違うことを、なんとなく日本人なら理解できます。それが英語で訳されると…


middle-aged women(中年の女性)


なにか寂しいですよね。

日本のお笑いはコンテクストを多用する傾向にあります。


少し話は逸れますが、日本のトップYouTuberですらテレビで活躍できない理由はなぜなのか。

面白いはずなのにどうして? 疑問に思うかもしれません。

しかしそれは後光効果、ハロー効果と言われる心理効果で、主観的に面白さが際立っているだけの状態に過ぎません。


これはお笑い芸人が、単独ライブでバカ受けしている状況に酷似しています。

ある芸人が言っていたことですが――(すみません、誰かは忘れました)


単独ライブに来る客はお得意様であり、自分の笑いを理解してくれているファンです。何を言ったところで信者は笑ってくれるのです。

ところが単独ライブで自信のついた芸人が、いざ全国放送の表舞台に立ってみると、誰も笑ってはくれません。

今までウケていたのは身内ネタであり、世間一般の面白さではないと気付くのです。

そうして一からネタを考え直し、万人にウケる芸人へと羽ばたいていくのです。


YouTuberがいかに動画で面白くても、それは単独ライブに立つ芸人と同じです。

ハロー効果に掛かった信者がいてくれるからであり、世間一般の目に晒された時、その魔法は解けてなくなります。


そして同じ構図が日本と世界でも言えます。

日本人はコンテクストを理解してくれるのですから、日本のあるあるネタに共感してくれるのです。

自分の笑いを理解してくれる、何を言ったって笑ってくれる信者なのです。

しかし万人受けしているように見えた一流芸人も、所詮は日本人というお得意様に特化した身内ネタであり、ゆえに世界の舞台では誰も笑わない。

日本の当たり前は世界の常識に通用しないのです。


芸人が今まで培ってきたスキルが活かしきれない。

これは一般人にとって付け入る隙ができることでしょう。


最後は日本と海外の笑いのツボの違いです。

日本では安直な下ネタは冷めますが、海外では鉄板ネタです。

過激な言葉はバンされてしまいそうですが、日本では寒い下ネタも、海外向けなら使える余地が残されています。

そしてもう一つのお笑いの性質の違い、これは私見でもあるのですが…


日本は日常会話において、みなまで話さず、ハッキリと意見を伝えない文化にあります。

言わずとも分かるでしょ? という風潮です。

ゆえに「なんでやねん!」とか「ちゃうやろ!」とか、「〇〇や!」などなど。はっきりと突っ込む日本のお笑いは非日常的であり、面白さに繋がると思うのです。


そして海外の日常は逆にハッキリと伝える文化にあります。

みなまで話さないと伝わらないのが当たり前です。

で、何が言いたいの? という風潮です。

ゆえに結論まで言い切らないジョーク、相手に察してもらうブラックジョーク、それらが非日常的であり、面白さに繋がると思うのです。


だから日本の芸風は世界でウケず、芸人のアドバンテージが通用しない。

一般人でもプロと同じ土俵から、一からジョークを学んで戦いはじめることができるのです。


それと版権には気を付けましょう。

日本は二次創作も多く、著作権に非常に寛容な文化です。そんな日本のノリで、外国人にウケそうだからと海外のキャラクターを使うと訴訟を喰らう可能性があります。

儲けた金程度で済めばいいですが、キャラクターのイメージを損ねたとなれば、儲け程度では済まない巨額の賠償を請求される可能性もあります。


最後に――

海外に向けて動画を投稿する場合。既に有名な配信者も、ほぼ無名からの再スタートとなるので、かなりの根気が必要になるかと思います。

しかし日本は旅行してみたい国でトップの座に位置します。

大谷翔平さんの活躍もあり、関心を示している方も増えています。

反面、ニンジャは今もいると思っている人は6割に上ります。(ニンジャの認知度自体は驚異の98%!)

興味はあるけど全然知らない、そんな人が山ほど世界にはいるのです。日本文化の発信は、まだまだレッドオーシャンではありません。


人と同じ知識レベルのAIが誕生するのは2029年、数億倍の知能を持ちシンギュラリティが発生するのは2045年と仄めかされています。

人間が主役の時間は残り僅か(↑以降はAIに太刀打ちできないと思われる)

踏ん切りのつかない方も、人間文化の最後の輝きとして、思い切って挑戦してみてはいかがでしょうか?

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