7−1

急遽決まった、お泊まり会。


晩御飯は愛華さんの手料理を食べさせてもらえることになったのだけど。


冷蔵庫にほとんど材料が残っておらず。


お母さんに連絡をすると、どうやら買い物前に出かけたみたいで。


まずは買い出しに出かけることとなり、スーパーまでの道を並んで歩く。


「あ、愛華さん…。ほ、ほんとごめんね…。ご飯作ってもらうだけじゃなく、買い出しもすることになっちゃって…。」


「ううん!いいよー!気にしないでー!それより!むつきはなに食べたーい?」


「え、えっと…。あ、愛華さんの食べたい物でいいよ…?」


「だめだよー!むつきのために作るんだから!むつきが食べたい物じゃないとだめでーす!ぶっぶー!」


そう言い、両方の人差し指でばってんをつくる愛華さん。


「そ、それじゃあオムライスは…?わ、私オムライスが好きで…。」


「りょうかーい!それじゃあオムライスにけってーい!」


と、今度は両手で大きく丸をつくる。


愛華さんは、なんだかいつも以上に楽しそうで。


かくいう私も楽しくて。


二人で笑い合いながら歩くと、少し遠くだったスーパーマーケットも、あっという間に着いていた。


「卵よーし!鶏肉よーし!野菜もよーし!うん!これであとは冷蔵庫に残ってた物を使わせてもらえば大丈夫だね!」


愛華さんがそう確認すると、レジへと通しマイバックへ。


荷物は私が持とうとするのだけど、愛華さんは、あたしが持つよー!と言って。


そんなの悪いよ…!と私が断ろうとすると、お互い譲らず。


最終的に、お互いに持ち手を片方ずつ持ち、並んで歩く。


家に着くと、さっそく愛華さんは料理に取り掛かるのだけど。


「あ、愛華さん…。わ、私も手伝っていいかな…。あ、あんまり得意じゃないから、邪魔になっちゃうかもだけど…。」


全部任せるのは申し訳ないし、なにか手伝いたくて、そう話すと。


「もちろん!一緒にやろ!その方が絶対楽しいもんね!」


と、嬉しそうにしてくれて、私も隣に並んで愛華さんを手伝い始める。


さて、普段あまり料理をしない私の担当はというと。


愛華さんがなるべく簡単な物を選んでくれる。


私が緊張しながら卵を無事に割ると、すごく褒めてくれて。


綺麗にかき混ぜると、またすごく褒めてくれて。


それからも、なにかする度に褒めてくれて。


褒められすぎて照れ臭かったけど、すごく嬉しくて。


絶対、愛華さんは将来良いお嫁さん。


そして、良いお母さんになると心の中で密かに思うのだった。


そんなこんなで、オムライスとサラダが完成して。


二人で喜び合うと、ケチャップで相手のオムライスになにか描くことなる。


「むつき出来たー?」


「う、うん…!で、出来たよ…!」


「それじゃあ、あたしから見せるね!じゃーん!」


そう言い、見せてくれる愛華さんのオムライスには、大きなハートに小さなハートがたくさん周りに書かれていて。


愛華さんらしい、かわいいオムライスになっていた。


感想を伝えると、なんだか照れていたみたいだけど、理由はわからず。


今度は私の番に。


私が描いたのはネコのデフォルメの絵で。


「えー!なにこれー!すっごいかわいいー!」


「あ、愛華さんネコ好きかなと思って…。」


「うん!ネコちゃん大好きー!でも、よくわかったね?」


「う、うん…。メ、メッセージのスタンプでよく使ってたから…。」


「それで気づいてくれたんだね!嬉しいなぁ!えへへ!」


と、すごく喜んでくれて、私も嬉しくなる。


「あ、そうだ!せっかくだから記念撮影しようよ!初めての共同作業記念!」


「う、うん…!そ、そうしよ…!」


二人で相手が描いてくれたオムライスを持ち、記念撮影をすると二人で眺めながらニコニコしていた。


それから、オムライスをいただくことになったのだけど、お互いに相手が描いてくれたオムライスを食べるのが惜しくて、なかなか食べ始められず。


このままじゃ、冷めてしまうと話し合うと、二人で食べ始めることに。


「お、おいしい…!あ、愛華さんほんと料理上手だね…!」


「えへへー!ありがと!でもでも!むつきが手伝ってくれたおかげだよー!」


なんてやりとりをしながら、楽しい晩御飯の時間を過ごすのであった。

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