第22話 スリッパの音

 関東のある地の簡易宿泊所。細長い建物のなかの両端に、男女が別々に宿泊する。


 建物の中心に大広間がある。大広間の真ん中の窓際に管理員室がある。


 日中は男女交流の場である広い大広間も、夜21時を過ぎると全て消灯する。


 施設職員が管理員室に宿直し、大広間を境に男性と女性のエリアを2分し、宿泊する男女の夜間におけるトラブルを防止する。


 30畳ほどあるフローリングのこの大広間の暗闇の中を、夜な夜な白い女性が横切っていく。何人もの管理員が目撃した。


 宿泊女性を確認したが、全員が在室であった。


 宿泊中の男性も、白い女性を見てはいない。出るという噂が広がり、営業にも影を落とし始めた。


 噂を否定するために、屈強の男性職員が

管理員を申し出た。


 夜中、眠りの世界が誘う。


 「パタ・パタ・パタ・・・・・」


静かだが

頭の中を直接振動する音

眠りかけていた目をこじ開ける


暗闇の大広間に目を走らせた

脊椎に冷気がはしる


大広間を横切っていく・・・・・

暗闇に白い女性が浮かぶ


目を凝らすがパタパタと

足音を発するべき足の存在はない


膝から下は何も見えない

闇に溶けていた・・・・・


両端に男女が別々に宿泊する

そんな簡易宿泊所

あなたが泊まられたときは


ご自分の目で、耳で

確認されたらいかがでしょうか・・・・・

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