私に創られし数多の英雄達が残した伝説

薄雪姫

第1話 死神の名言

通称:死神

本名不明

分類:異能力者

種族;人間(人間という言葉の定義ってなんでしたっけ?)

性別女(の皮を被った怪物ではありません。本当に女の子です)


【概要】

一瞬の胸のときめきが……永遠に乙女を哀しませるなら、恋なんて無くなればいい。

愛故に傷ついた総ての生きとし生けるものたちよ、報われない愛が世界に存在するのなら、そんな世界なんて壊してしまいなさい。

世界を壊す方法は唯一つ



"死神様"をお呼びなさい。



 死神様は命を刈り取る大鎌を背負ってやってくる女の子のことです。髪の毛は、高価な匙よりも綺麗な銀色で、肌の色は病気のように白くて、お人形さんみたいなお顔なのに、心の何処かが壊れたような目をしています。


 夜の闇よりも黒い衣を、世界の血で紅く染めてくれるでしょう。


名言

「愛の反対は無関心よ」


「私を愛してくれた心やさしい男の子はあの丘の下で眠っているの。眠りながら……泣いているのよ、苦しんでいるのよ、怒っているのよ、悩んでいるのよ、叫んでいるのよ、それでも精一杯眠っているのよ。いい加減、安らかに眠らせてあげてちょうだい。安らかに眠らせてあげないなら殺すわよ?」


隠忍自重我慢なんてせずに殺しなさい。自称お友達の敵は、親友か知り合いかを問わず、玉石混交を問わず、貴方の思いどおりに動かなくなれば、文字通り切り捨てなさい。貴方自身の殺意だけが貴方の本当のお友達よ。私のお友達は私自身の殺意だけよ」


「とっとと、くたばって地獄に堕ちてちょうだい。そして、地獄でくたばってちょうだい。」


「"かんちゃん"は………………………………渡さないわ!!!!!!!!」


「破壊は愉快よ。何も壊れない平穏な日々は不愉快よ」


「……天邪鬼は相変わらず軽挙妄動熱血ね」


「かんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃんかんちゃん……」

「みたま、リサ、貴女達、かんちゃんの生まれ変わりでしょ?。その無垢な瞳、相変わらず綺麗ね!

今度はちゃんと守らせてちょうだい。だから……もっと抱きしめさせてちょうだい。我儘な私でごめんなさい」


「最後にかんちゃんには見向きもしなかったのに陳腐な阿婆擦れ女と遊ぼうとする最低の糞男が何匹かいたから……腐れ魔羅を取ってあげたわ。

真逆、くたばっていった連中に筋違いの同情なんかしてないでしょうね?」



「一切合切 諸事万端 天地万物 森羅万象……あの子もこの子もあいつもこいつもどいつもあなたもあんたもお前もてめぇもお主も貴様もみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんな死んでしまえよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおいおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

「もっと……もっと……啼けよ! もっと……もっと……喚けよ。涙も喉も枯れ果てるまで……啼けよ!! もっと、頭を垂れて命を乞えよ!!

そうすりゃあ、優しく殺してやるよ!!!!!!!!!!!!

あの世でかんちゃんにわび続けろよ!!!!!!!!

天衣無縫おひとよしで優しくて私をいつも笑顔にしてくれて、可愛い声をしたかんちゃんこそ私の全てだった!!!!!! お前らは私の全てを壊した!!!!! でもよ……無様に啼けば、地獄の底から、宇宙の彼方まで響くくらいには大声で啼けば、無様に地面を這いつくばって私に縋れば、優しく殺してやるよ。あたし、優しいだろ?」



「かんちゃんを除く人間は玉石混交なんて言わずにみんな目も背けたくなるようなブサイクよ。そんなブサイクのことを南瓜に目鼻なんて言うらしいわね。


南瓜に顔なんてないわよ。


野菜に顔なんていらないもの。


同じ様に、人間を気取っているくせにかんちゃんを舐めるように可愛がらないお馬鹿さんのお顔だって失くなるわ。


いらないもの。


かんちゃんへの不敬罪は死刑よ。


かんちゃんこそ世界のみんなが降伏を維持するための秩序であり、世界が生まれた頃から永久不変の理であり、かんちゃんの意思こそ世界の全てだから。


だから、かんちゃんに逆らった罪人にお顔なんか勿体無いわ。


かんちゃんの神々しい美貌を見ようとしない眼に


かんちゃんのヒヨドリよりも美しい声を聞こうとしない耳


かんちゃんの香しい匂いを嗅ごうとしない鼻


何の訳にもたたないわね。


奴らのお顔の皮を・・・・・・剥ぎ取って・・・・・・断罪してやらなきゃ・・・・・・」







「わたくしはわたくしのままです。ただ、ほんの少しだけふくれているのです。」

「戦いなさい、殺しなさい。羊の皮を着た狼さんの牙を折るのです」

「女神様の造りたもうこの天宇地廬せかいそのものが……わたくしを……嘆かせ、憤らせるのです!」

通称:魔女姫

種族:黒魔女

CV松来未祐

契約悪魔:ベラドンナ

主な配下:死神、月影凛、ベラドンナ

解説:この世界で唯一死神を愛してくれた偉大な魔女かんちゃんが世界を滅ぼすべく蘇った。

姫という名前、熟練の職人につくられた鈴のようにきれいな声などかつてのかんちゃんの面影は多少残っているものの、その瞳からは100カラットの輝きが失われており、感情を一切表に出さないが本人曰く『少し膨れている』


死神とは主人公の一人である人外の少女。

【概要】

「魂の管理者」「全ての微笑みを終わらせる者」と呼ばれ忌み嫌われながらも闇の中で戦い続ける存在。「死」という女神を名乗るに不似合いな属性を持つ『異端者』。

曰く孤独に苦しみ、愛を得られなかった弱き者達の慟哭を"祈り"とし「全ての涙を終わらせる女神」

90%を女神と表現してしまえば、残りの10%が女神ならざる者で90%を女神ならざる者と表現してしまえば残りの10%は女神とされる

偽善者といえば若干正しいが、単純な善や悪という定義で語ることは難しい。

【正体】

翼覆嫗煦の無い世界など女神は望まない。他者に関心を持たないことは咎であり許されざる禁忌である

死神とは婉娩聴従で柔和な者に何ら関心を持たない咎人を処刑する者。女神たちが女神として生まれた瞬間(とき)からいたとも言えるし比較的現代に近しい過去に生まれたとも言える

【関連用語】

魔術

超常的な存在や力を通じて自然や動物、人間などに働きかけようとする技術。人類誕生から存在するものであり、神を通じて様々なものに働きかけようとする「宗教」とは裏表の関係にある。使用者の目的により白魔術、黒魔術と呼び分けられることもあるが、厳密なものではない。技法的には望んだ状況を象徴的に模範、再現する「共感魔術」と、様々な儀式を通じて願望を叶えようとする「儀式魔術」などに分類することができる。


魔術の原理

霊たちの好みを熟知し、霊たちを引き付ければ、彼らを操ることも不可能ではない。それが『ソロモン王の鍵』の魔術の原理である。

『ソロモン王の鍵』の冒頭には、ソロモン王が息子レハベアムに語るという形式で、次のようなことが書かれている。

 すべてを創造した万能の神は人間が完全なものであることを望んでいる。そのために、神は人間を霊的かつ物質的なものとして、つまり肉体は粗野で地上的だが、魂は霊的で天上的なものとして創った。それゆえ、人間は地上の霊も天上の天使も服従させることができるのである。

 そのために大事なことは神の栄光のために働くことである。

 霊や天使には様々な種類がある。霊や天使たちは彼らが何を支配しているかで区別されている。たとえば、至高天の天使、原動天の天使、水晶天の天使、7惑星の天使たちがいる。四大元素のそれぞれにも天使たちがいる。火・空気・水・土の天使である、また、神はわれわれ一人ひとりにも天使を派遣していることを忘れてはいけない。彼らは私たちが正しく行動しているかどうかを監視しているのだ。

 これらの霊と天使たちの性格および彼らを惹きつける方法を知ることで、人間は彼らを従わせることができるのである。

 しかし、これらの霊はそれぞれに呼び出すのにふさわしい日と時間がある。そのとき彼らは最高の力を発揮するのだ。それゆえ、それぞれの天体・霊・天使ごとに、それにふさわしい日と時間がいつなのか知っておく必要がある。同じように、それぞれの霊にふさわしい様々な事柄がある。つまり、色、金属、薬草、植物、水に住む動物、空を飛ぶ動物、地上の動物、お香、方角、呪文、印章、図形、神聖な文字、こうしたもののパワーが総合されて、霊と天使たちを動かすのである。だから、この書『ソロモン王の鍵』に書かれていることをよく知らなければならないのである。


 ウェスタの処女

タレスが「万物は神々に満ちている」と述べたように、古代のローマでは割りといろんなものが神として崇拝された。そんなノリだから、ローマには巫女や神官もまた無数にいたが、無数のみこの中でも特殊な存在だったのがウェスタ神の巫女たちだ。

 処女神ウェスタ自身、乱造されたローマの神々と異なり、古の信仰の名残を見せる原始的なかまどの女神だった。やがて彼女は火そのものとしてローマを象徴する存在となったが、中でもウェスタ神殿の祭殿の炎はウェスタの本尊であり、ローマの繁栄を支える根本と考えられた。で、この聖なる炎を絶やさぬために遣わされた6人の巫女が所謂ウェスタの処女。


魔女とは何か?


 悪魔の手先としての魔女のイメージは魔女狩り時代のヨーロッパ人の作り上げた妄想であって、実在する伝統的魔女とは関係なかった。


・悪魔の手先としてこの世に害をなす魔女

 魔女狩りの時代、ヨーロッパのキリスト教徒は魔女について、古い宗教とは異なるまったく妄想的な特別な観念を作り上げていた。

 伝統的な魔女は太古の信仰とつながる呪術者・シャーマンのような存在であって、ヨーロッパに限らず世界中に存在していた。ヨーロッパに関していえば、地中海地方の魔女は古代ローマのディアナ女神に代表されるような地母神崇拝の系統に属し、群れをなすという特徴があった。いずれにしても魔女は悪魔とは関係ない存在であり、自分の意思で善いことも悪いこともした。そして、一般の民衆はこのような魔女を恐れながらも、特別な知識を持った賢者として信仰していたのである。

 しかし、魔女狩り時代のキリスト教徒は魔女といえば悪魔の手先であり、この世に悪をもたらすと考えたのである。もちろん、キリスト教会にとっては古くから異教を信仰する者は悪魔の手先だったが、長い中世の間にそのイメージが徐々に固められていったのだ。たとえば、キリスト教会最大の神学者の一人トマス・アクィナス(1227ころ~74年ころ)は魔女狩りとの直接関係はないが、魔女術の核になる五つの概念の基礎を作った。どれは「悪魔との性交渉」「空中移動」「動物への変身」「荒天術」「不妊術」である。こうした過去の偉大な神学者や聖書の記述をもとに、魔女狩り時代の悪魔学者たちが悪魔の手先としての魔女のイメージを固めたのである。

ただ、魔女狩りで狙われたのは伝統的な魔女ばかりではなかった。社会的弱者はしばしば狙われ、ときには金持ちが狙われることもあった。端的にいって、魔女と疑われた者はみな魔女にされてしまったのである。



魔女狩り本『魔女の悪魔狂』

『魔女への鉄槌』以降に刊行された魔女学書の中で最も有名な一冊『魔女の悪魔狂』は驚くことにフランスが誇る大ユマニストの手で書かれた。


・偉大なユマニストも魔女の実在を信じていた


 著者のジャン・ボダンは16世紀後半に活躍したフランスが誇る大人文学者(ユマニスト)で、数多くの著作によって高い評価を受けた人物である。したがって、1580年の刊行された『魔女の悪魔狂』は著者への評価を著しく損ねることになった一冊である。また、この本には『魔女への鉄槌』以降に書かれた多数の魔女学書の中でも最も有名な書物の一つである。

 序文の中で、ボダンは彼自身も審理に加わった魔女ジャンヌ・アルヴィリエの裁判の内容に触れたあとでこう書いている。「それゆえ、わたしは本論書を執筆しようと心に決め、魔女たちが悪魔を追い求めるその熱狂ぶりにちなんで『魔女の悪魔狂』という書名をつけた。その目的は、読者すべてに警告を鳴らし、これほど邪悪で、これほど重い刑罰に値する犯罪はないとはっきり知らしめるためである。」(『魔女の誕生と衰退』田中雅志編訳・解説/三交社)ボダンのような当代随一のインテリがこんなことを書くのだから、その当時どれほど多くの人々が魔女の実在を完全に信じていたかわかるだろう。

 内容はほぼ次のようである。この本は全4巻で、第1巻は「『魔女』とは悪魔的な手段を用いて故事に何事かをなそうともくろむ者である。」(同上)

という魔女の定義に始まり、悪魔の存在および悪魔が魔女と関係できることの証明に当てられている。第2巻は魔女が行う魔術を取り上げ、魔女が人間や自然に与える害悪、狼憑き現象、悪魔と魔女の性交に関する具体例を引きながらの論述である。第3巻は、魔女のその他の能力とその魔術から身を守る方法を主題にしている。第4巻は魔女裁判の実践マニュアルになっている。もちろん、魔女と疑われる者をいかに確実に火刑台へ送るかという手続きと手順の説明である。


空飛ぶ魔女

魔女は箒に乗って空を飛ぶと多くの人が信じていたが、教会の鐘の音が鳴ると箒から堕ちてしまったといわれる。

箒・杖・動物などに乗って魔女は飛ぶ

 魔女妄想の時代、ヨーロッパの人々は魔女は箒にまたがって空を飛ぶと信じていた。空を飛んでサバトへ行くのである。新約聖書の『ルカによる福音書』にはサタンがキリストを高く持ち上げ、一瞬のうちに世界の国を見せ、さらに神殿の屋根の上に連れていく場面がある。だから、サタンの力を借りた魔女が空を飛べたとしても少しも不思議はないのである。

 魔女が空を飛ぶための道具としては最終的に箒が有名になったが、最初はいろいろな道具が利用された。棒切れ、糸巻棒、杖、鋤などである。動物に乗ることもあった。黒い山羊、牡牛、犬、狼などである。飛行用の軟膏ももちろん重要だった。魔女たちはこの軟膏を飛行道具と自分の身体に塗りつけ、家の煙突から空へ飛び立っていくのである。

変身する魔女


魔女は自由自在にいろいろな動物に変身したが、最も恐ろしいのは狼への変身で、人や家畜を襲って食べると信じられていた。


・魔女は変身の方法を悪魔から与えられていた


 人間が動物に変身する話は神話や民間伝承に数多く、世界中にある。それとまったく同じように悪魔と契約した魔女も自由自在に変身できると一般に信じられていた。悪魔は献身的な魔女に対して、その褒美として変身の能力を与えるのである。

 魔女がよく変身するのはその辺にいる動物で、猫、犬、鼬、鼠、鷹、鳥、牛、蛇、蝶、トンボといったものである。だから、悪魔の全盛期には、多くの民衆がそんな動物が畑を横切っただけで、それは魔女ではないかとか、魔女の使い魔ではないかとびくびくしたのである。ただ、魔女は子羊や鳩には変身しないといわれた。それはキリスト教で純潔のシンボルとなっている動物だからである。また、魔女はサバトに出かけるときも、身体に膏薬を塗り、動物の姿になって箒に乗って空を飛ぶといわれた。

 魔女はいろいろな動物に変身するが、なかでも恐ろしいのは狼への変身である。これはいわゆる「狼男」や「狼憑き」と似たようなもので、魔女は狼の姿になって夜間に郊外をうろつき回り、人や動物を襲って食べ、再び人間の姿に戻ると信じられたのである。だから、村の誰かが狼に食われたら、それは魔女の仕業かもしれないと疑われたのである。

 どんな動物に変身したときでも、動物に変身しているときに怪我をすると、人の姿に戻ったときでも、動物に変身しているときに怪我をすると、人の姿に戻ったときもまったく同じところに怪我をしているといわれた。このために魔女だと見破られてしまったという話も多い。

 変身するときに呪文を唱えたという魔女の証言もある。1662年にスコットランドで魔女裁判の被告となった女性イザベル・ガウディは「我兎とならん、/悲しみ、嘆き多き兎に/我(悪魔)が軍門に下らん、/再び家に戻る時まで。」


魔女の入会式

中世ヨーロッパの魔女たちは、魔女の夜宴(サバト)に参加し、魔王サタンの目の前で入会式を行うことで、悪魔と契約した。

・魔女になるために必要な悪魔との契約

ファウスト博士が行ったような伝統的な契約方法のほかにも、悪魔と契約する方法はあった。それは、魔女狩りが盛んだった16~17世紀ころのヨーロッパで、魔女たちの多くが悪魔と契約するためにサバトに参加し、魔王サタンの目の前で入会式を行うことで、悪魔と契約したのである。

 魔女の入会式については魔女自身によって、または悪魔学者たちによってさまざまに語られている。16世紀の悪魔学者のウィリアム・パーキンズは、入会式ではサタンとの間に魔女の血で書かれた契約書が交わされるといっている。契約に際して、魔女はサタンの臀部に接吻するともいわれた。

 フランチェスコ・マリア・グアッツォの『蟲物要覧』(1608年)では、魔女の入会式は次のようなものだとされている。

 まず新人魔女がサタンの前に進み出て、キリスト教を否定し、悪魔への帰依を誓う。宣誓後、十字架や聖母マリア、聖人などの像を踏みにじる。サタンはその魔女に新たな名を与え、再洗礼を授ける。再洗礼は一般的に汚れた水で行うといわれた。続けてサタンが魔女の顔をこする。これは洗礼の聖油を取り除く象徴的儀式である。そして魔女のそれまでの服従の印に衣服の一部を捧げ、地面に魔法円を描き、その中で悪魔への忠誠を誓う。その後、魔女は「死の書」に名前を記入してくれるようサタンに要請し、悪魔に対して幼い子供を捧げる約束と年に一度捧げものをする約束をする。最後に魔女は今後キリスト教的な儀式を行わないこと、契約の秘密を守ることを約束するのである。こうして魔女となった者だけが、悪魔の助力を得られるのである。




呪殺の蝋人形

人に呪いをかける場合に、ヨーロッパで最も一般的に用いられたのが蝋人形で、権力闘争に明け暮れる王や貴族たちが狙われることが多かった。


・呪殺目的で最も一般的だった蝋人形の魔術


 ヨーロッパで、人に呪いをかける場合に、最も一般的に用いられたのが蝋人形である。とくに中世からルネサンスの時代には、権力闘争に明け暮れる王や貴族たちがしばしば蝋人形の呪いの標的となった。

ヨーロッパでは蝋人形のほかに、粘土人形もよく用いられたが、考え方は同じである。

まず、呪いたい相手にできるだけ似せた像を作る。像は相手に似ているほどよく、相手の名前を書いた紙を埋め込んだり、相手の毛髪や爪などを練り込んだりすると呪いの効果は大きくなる。どこか特定の場所に病気を起こさせたいときには人形のその部分に棘、針、釘などを突き刺す。あるいは特定の部分を切り取って焼いてしまう。心臓に針を突き刺したりは像全体を焼いて蝋人形を溶かしたりすれば、相手は死んでしまう。相手を苦しみ続けさせたいときには、痛めつけた像をどこかに埋めて隠してしまえばよい。そうすると、像が発見されるまで相手は苦しみ続けるのである。16世紀には、その効果は2年くらい持続すると考えられていた。

 蝋人形でなく、粘土人形の場合、新しい墓から採った土、焼いて灰になった男女の骨、黒蜘蛛を混ぜて水でこねて作るというように、いかにも不気味な材料で作ることが多かった。


 魔女の黒魔術

魔女たちはみな黒魔術師であり、家畜の病気や死、嵐、日照り、失恋、性的不能などを引き起こし、人々に災厄を振りまいた。

・いろいろな自然災害・災厄をもたらした魔女

中世ヨーロッパでは、魔女たちは黒魔術を使い、さまざまな悪行を働くと信じられていた。他人の家畜や財産に損害を与えたり、女性を不妊にすることもあった。頭痛になったりシラミに食われたりするという些細なことも魔女の仕業だった。

これら魔女の働く悪行は"マレフィキア"と呼ばれた。そして、悪行を働くことはサタンと契約していることを意味しており、その者が男でも女でも、魔女だということの証拠となった。

 魔女が黒魔術で危害を与える対象は、農業と関係していることが多かった。魔女は黒魔術で、暴風、嵐、強風、悪天候を起こし、作物を枯らし、隣人の家畜を病気にしたり死をもたらしたりするのである。したがって、この種の災厄があって理由がはっきりしない場合、みながそれは魔女のせいだと考えた。そして、心当たりがある者は魔女だと思われる誰かを告発し、魔女狩り人は疑わしい者たちを一斉検挙したのである。

 農業と関係のある魔女の黒魔術は、とくに北部ヨーロッパで盛んに行われた。北部ヨーロッパでは中世から農業の生産性が高まっており、農業が重要な産業になっていたからだ。そのため、魔女たちの多くが、農業に被害をもたらしたという罪で逮捕されたのである。

 魔女は悪魔の力を借りて黒魔術を使うと考えられていたが、手段としてよく用いられたのは、軟膏、薬草、人形、結び目などを用いるものだった。人形のような形代を用いるというのは古典的な共感魔術であって世界中にあるが、それで殺人を犯したという話が魔女裁判にはたくさんあるのだ。いわゆる呪文や邪視、使い魔が用いられることもあった。


悪魔との契約

キリスト教時代の中世ヨーロッパでは、黒魔術を実践するためには悪魔と契約する必要があったが、悪魔との契約は恐ろしい結果を招いた。

・悪魔と契約することで魔法使いになる

 キリスト教時代の中世ヨーロッパでは、魔法や占いのような超常現象は、悪魔の力で行われると考えられていた。だから、黒魔術を実践する者はみな、悪魔と契約する必要があった。それはこういうことだ。もしも魔法を使いたければ?どの合図と呪文がどんな意味を持つかを、人と悪魔の間で取り決めておく必要がある。そうすることで、黒魔術師の合図通りに、悪魔が普通ではできないことをなしとげるのである。この取り決めが契約だというのだ。だが、悪魔との契約はしばしば恐ろしい結果を招いた。

 ここで、16世紀ドイツの伝説に登場するファウスト博士を例として、悪魔と契約した魔術師はどうなってしまうか、見ておくことにしよう。

 ファウスト博士は魔法使いになるために、ウィッテンベルグに近い森で、四辻に魔法円を描き、夜の9時と10時間に呪文を唱え、悪魔メフィストフィレスを呼び出したといわれている。そして、自らの血で証文を書き上げ、悪魔と契約を結んだ。

黒魔術とは何か?

太古の時代から、気に入らない人物やライバルを蹴落とすために黒魔術は存在し、いくら禁止してもなくなることはなかった。

・太古の時代から世界中で実践されてきた邪悪で危険な魔術

 黒魔術とは、邪悪な魔術のことである。自分勝手な願望をかなえたり、悪天候を起こして多くの人に迷惑をかけたり、人の家や財産を盗んだり、憎たらしい敵の身体に危害を加えたりする魔術である。もともと邪悪とされる、悪魔、悪霊、死霊などを呼び起こすのも、黒魔術である。動物や人間を生贄に捧げるような残酷な儀式の魔術も黒魔術といっていいだろう。

 そんな邪悪なものならば禁止すればいいと思えるが、いくら禁止しても黒魔術はなくならなかった。この世から犯罪がなくならないように、太古の昔から、黒魔術がなくなることはなかったのだ。

 そもそも、どんな未開の社会であろうと、複数の人間が一緒に暮らしていれば、相性の悪い相手というのはいるものである。そういうとき、相性の悪い相手を苦しめるために、非常に古い時代から、黒魔術が使われたのだ。美人の人妻を手に入れるために、その夫を黒魔術で呪い殺そうとする人間も存在していた。また、理由もなしに頭が痛くなったり、転んで怪我をしたりした者は、誰かが黒魔術で呪ったからだと考えたのである。

 社会が発展し、権力者同士が激しい権力闘争を繰り広げる時代になると、黒魔術は一層盛んに行われるようになった。敵対勢力の大将を呪い殺すために、何十人もの黒魔術師が集まって、恐ろしい黒魔術の儀式を行うこともしばしばだった。宮廷内での、女性同士の権力争いでは、黒魔術こそが唯一の闘争手段といってもよかった。女性たちは武力で争うことができなかったので、黒魔術よりほかに、頼るものがなかったからである。しかも、最悪なのは、たとえ黒魔術を使っても、自分が黒魔術師だと考える魔術師はほとんどいなかったのである。


黒魔術の基本法則

太古の時代から、魔術の基本は「類似の法則」と「感染の法則」であり、これら二つを合わせて「共感の法則」と呼ばれている。

・たった二つの基本法則からなる黒魔術

黒魔術であれ、白魔術であれ、魔術の最も基本的な法則は、太古の時代から現代まで全く変わっていない。その法則は、「類似の法則」と「感染の法則」の二つで、これら二つを合わせて「共感の法則」と呼ばれている。そこで、魔術には類似の法則に基づくものと、感染の法則に基づくものがあることになるが、前者は「類感魔術(類感呪術)」、後者は「感染魔術(感染呪術)」という。また、それらを合わせた共感の法則に基づく魔術は「共感魔術(共感呪術)」という。これらの用語は、ジェームズ・フレイザーが20世紀初頭に書いた未開社会の研究書『金枝篇』に基づいているが、本書の中でも時々用いているので、知っておくと便利だと思う。

 類似の法則と感染の法則はおよそ以下の通りである。

 第一の類似の法則は、類似したものは類似したもの生み出す、というものである。たとえば、AとBが似たものであった場合、魔術師がBに対して何事かをすれば、それと同じ効果がBにも現れる。あるいは、魔術師が、Aが何かしている様子を模倣すると、Aもその通りにするということである。このような魔術の代表は、もちろん人形を使った黒魔術である。相手に似せた人形を作り、それに針などを刺して敵を苦しめる黒魔術について、知らないヒトはいないだろう。

第二の感染の法則は、過去においてそのものの一部であったもの、または接触していたものは、互いが分離したあとでも、一方に加えられた行為は、それと全く同じ効果を、もう一方に引き起こすというものである。黒魔術の世界では、歯、毛髪、爪などのように、かつては人体の一部だったものが、憎い相手を苦しめるための重要な呪物とされるが、それはこの法則に基づいているのである。

グリーンレディ

冬の女神ベーラの子孫である魔女たちの一族。その姿は様々で、ベーラのような老婆もいれば、夏の乙女のときのベーラのような、うら若き美少女もいる。また、自由に姿を変えることができる者もいた。

 彼女たちは、それぞれ静かな場所、川や滝や緑の丘や深い峡谷などに一人で住んでいて、昼間は滅多に姿を見せることはない。しかし、夜になると外に出て、あちこちをさまよう。そして人々を騙すのだ。

 例えば、旅人の前に、その者の愛する者の姿をとって現れ、しばらく話をして信用させると、嘲笑を浴びせて去る。また、犬に化けて羊をあちこちに追い散らし、羊飼いを困らせたりする。さらに、浅瀬で溺れさせたり、断崖絶壁に誘い込んだりもする。

 彼女たちに、持っている武器の名前を教えてはならない。うっかり答えると、たちまち魔法で使い物にならなくされてしまうのだ。これを守れば、うまくすれば緑の魔女を捕まえて、願いを叶えさせることもできるが、無理矢理働かされた魔女は、必ず後で復讐する。

 彼女たちの中には善良な者もいる。



参考文献

『図解魔導書』

『図鑑悪魔学』

『図解黒魔術』

『悪魔事典』

『新魔女図鑑』

『魔法使いの教科書:神話と伝説と物語』

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