第39話 3度目の挑戦、警戒

めんどくさいからこの嘘つき問題は放置することにした。

あの事件は俺が見ていない時に起こった。

つまり俺が分からないようにアクションしたという訳だ。

なのでこれから俺が2人から目を離さなかったら大丈夫だろうという魂胆だ。


「これからどうする〜」


王子が白くてほっそりとした手を挙げた。


「今のまま挑んでもまた負ける気がするんだよね」


現に俺たちは2回連続で敗北を喫している。

確かに現状勝てるまだビジョンは見えない……。

が!


「経験値おいしいから周回で良くね?いつか勝てるかもしれないし」

「え!?」

「そうなんですか!?」


どうやら2人は経験値の件を知らなかったようだ。

2人は慌ててステータスを確認する。


「うっわ。すっごい上がってる……!」

「最高じゃないですか!!」


その驚き様を見て俺は少し鼻が高かった。

2人の経験値振り分けを待ち、またダンジョンクエストへ向かった。

3度目の挑戦。もう終われるならここで終わらしておきたい。

酒場の出口で3人は円になり、真ん中に手を出し合わせた。


「よしっ行くぞ!!」

「おー」「えいえ、え?」


手を天に掲げ、ダンジョンの地に足を踏み入れた。


~3度目の挑戦~


俺はトラップやモンスターに注意しつつ、第1に2人から目を離さないように進んで行った。

もう歩き慣れた景色、ルートが変わっていても警戒していれば難なく対処出来た。


想像よりモンスターが多く出てきて少しダメージを食らってしまったが3人はあの大部屋へ辿り着いた。

目の前に例の文字が映し出され、背後にゴーレムが出現した。


「これが…ボス……」

「そうか。王子はゴーレム見るの初めてだったな」

「うん。わんはよくこんなおっかないのと戦ってたね」

「……あぁ」

「来ますよ!!」


メイの号令で3人は構えた。


「うぉぉ!」「はぁぁ!!」


俺とメイは、過去の経験から即距離を詰め、攻撃態勢に入る。


「私も!」


遅れて王子も突撃して行った。


「『破壊』」


メイは前回と同じく正面に『破壊』を、俺は打って変わってメイと同じ位置に突きを入れた。

メイの破壊力はお馴染みだが、俺の突きは攻撃力を上げたおかげかゴーレムの体が少し欠ける程度にはヒットした。


「へやぁ!」


遅れて王子の斬撃が首をちょん切るように放たれた。

しかしその攻撃は硬い体に弾かれてしまった。


「ガギギガ」


また同じようにゴーレムの反撃がやってくる。

もの凄い速度で王子の方へ向かっていった。


「ァ……ガ……」


ゴーレムの腕が王子の胴体を突き破った。


……ッッ…!!


「今だ!」


また距離を詰め、攻撃を放つ。

狙いはもちろん同じ場所。


「『破壊』」「はぁあ!」


2人の攻撃は先程と同じようにヒットした。

ゴーレムの体は正面に大きな凹みができた。

俺の攻撃も体を少し欠けさせた。


「これ行けるぞ!」


好感触を感じ、メイの方をちらっと見た。

と同時に横からゴーレムが来ていた事に俺は気が付かなかった。


-GAME OVER-


--続く

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