パトカー(別冊「どうでもいいことですが」)

続 別冊第65.5話 職質

 昼夜逆転していた大昔の話。


 自転車で、近所のコンビニへ。


 特に用事はありませんでした。

 だから、散歩といえば、散歩でしょうね。

 深夜のノリで何となく外に出た、その目的がコンビニだっただけ。


 そんな時に、まあ……。


 職質、受けまして。

 最初に一人。

 さらにぞろぞろ、パトカーからいっぱい警官が、が、が……。


「この近所で泥棒が頻発」

「傘を一本置いていく」


 なんて、そんなことを言われたような。


 やましいことは何もないんで平然を装っていましたけど。

 何人もの警官に囲まれるんですよ?!

 無線で連絡も取りながら!

 内心はまあ、ドッキドキで。


 自転車はひっくり返されて防犯登録番号でしたっけ?

 それを確認されて。

 もちろん、私は泥棒じゃない。

 自転車だって、家のものだし。


 すぐに解放されましたけど。


 ところがこれ、一度じゃない。


 深夜に出歩くのはさすがにやめました。

 いやになって。

 怖いというよりも、そっちですよね。

 昼夜逆転の生活、荒んでいましたし。


 で、昼間なんですよ、今度は!


 自転車で買い物。

 パトカーが通り過ぎるなあ、何かあったかなあ……。

 ちょっと、覗き込むような感じで。

 すぐ後に道を折れたんです。


「そこの自転車、止まってくださぁい」


 何事!?


 職質です、また。


 さすがに、慣れました。

 だからなおのこと平然とした顔で。


「自転車、ひっくり返しましょうか?」

「いや、そこまでは……」


 向こうのほうが恐縮して。

 って、そんな感じに。


 やましいことはないので。

(大事なことなので、何度でも!)


 でも、さすがにもう、パトカーは苦手になりました。


 今もウォーキング、明け方でしょ?

 最後は通学時間帯とも重なる。

 パトロールのパトカーはけっこう見ます。

 もうね、無視です、無視!

 かえって意識しないように。

 見ないように。


 心の中では、


『ウォーキングですよ。朝の運動ですよ。何も怪しくありませんよ……』


 ドッキドキですけど。


 そんなどうでもいい話。

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