第2話 妖精界へのカギ

「ピンク、カギが見つからないと、どうなるんだ。」「妖精界に帰れない。一生、こちらの世界で生きて行くしかない。それに小学校卒業は妖精界隈の義務だから卒業できないと妖精界では、かなりの落ちこぼれになる。あー、それだけは避けたい。ケイタ、お願いだから探して。」僕は真面目な顔で「人間界も悪くないよ。」ピンクが目を細めて「ほんと?ケイタ、友達と遊びもしないで、いつも退屈そうな顔してたよ。ほんと暇そうだったよ。」「えっ、ピンクいつから見てたんだ。ずーっと前からよ。君が小学校入る前の前から。ケイタ、ベビーカーに乗ってよくサクラ並木、妖精界のドアの前、行ったり来たりしてたよ。」そういえば、あのサクラ並木の奥に保育園があって、僕はそこに通ってた。「ピンク、思い出したよ。そうだ、サクラの時期はサクラが満開で、とてもきれいな景色だった。子供心にずーとサクラが咲いてればいいのにって思っていたなあー。保育園で、小学校で嫌なことがあってもサクラを見るとなぜか「仲間と一緒にいるような安心感があったんだ。」ピンクは口にしようとしたが言葉を飲みこんだ。”ケイタ、決まってるじゃない。君のママは、私達と同じサクラの妖精よ。”このことは今は、秘密にしよう。僕は空を飛びながら、「ところで、ピンク、カギは、どんな形をしているんだ。」「サクラの形に決まってるじゃない。5枚の花びらに枝のようにまっすぐなカギよ。」「サクラの形ね。」「それにケイタ、光るのピンク色に。まるで私の色ね。」「色はピンクか。空から地上が良く見えるけど、ピンク、範囲が広すぎるよ。どのあたりで落としたか、心当たりはないかい?わかっていたら、ケイタに頼まないよ。」「それもそうだな。」僕らは魔法で空を飛びながら、時々、カラスをよけながら飛び続けた。「それに、もしそのカギがデビル界の蜘蛛の妖精に渡ったら、大変なことになるの。」「あっ。」僕は川の中で光るものを見つけた「ピンク、あそこ、光ってないか?」僕らは急降下、川に入りピンクは手を伸ばす。「ガラスの瓶だわ。」「残念。そうか光ったのにな。」僕はピンクから瓶を取り自販機横のBOXに入れた。ピンクが「ケイタ、また飛ぶよ。」「おう。」僕は続けて「ピンク、さっき話していた、デビル界の蜘蛛の妖精って?」「あーデビル界の蜘蛛の妖精ね。彼らは、私達サクラの妖精界を支配しようとしているの。過去にも何度か攻撃があったの。その攻撃のせいでサクラの木が黒病にかかり、サクラの花を咲かせなくなって大変だった。彼らはサクラの木の皮が丈夫なことを知っていて、その資源が欲しいみたい。それにサクラの実。さくらんぼもね。手に入れようとたくらんでいる。だから、絶対に彼らより先にカギを見つけないと。私の卒業式も大事だけど、サクラの妖精界も大変なことになるの。」気の強そうなピンクが一瞬不安そうな顔をした。僕はモブだ。今まで誰かのためにって行動したことは一度もないし、思ったことも僕は、なかった。が、今このピンクのために助けたいと心から思っている。そして「ピンク、大丈夫。僕が必ず見つける。約束する。」なぜがはっきりした根拠はなかったが見つけれる。僕はできると確信があった。モブなのに。「ケイタ、ありがとう。頼むわ。」ピンクの顔が明るくなった。「ピンク、さっきからヘンテコな鳥?カラスが一羽ついてくるんだけど。」「あー、気づいる。彼は大丈夫よ。学校の教官のダル。鳥に変身している。」「私達の卒業試験が人間界探索レポートなの。教官は監督なの。他のみんなは、レポート完成させて昨日、妖精界に帰ったの。で落ちこぼれの私が、きっと最後になるからってカギを預かったんだけど・・・そのカギを無くしたことがバレたみたい。」「どうしてダル教官は気づいたんだ。」「だって約束の時間、とっくに過ぎてるから。」「それはまずいな。」「それにケイタと一緒にいる時点でダルもおかしいって、ついてきてるみたい。」「教官呼び捨てでいいのか?」「大丈夫。みんな言ってるもん。」いきなり強い風。僕らと並行してヘンテコなカラスが飛んでいる。「ピンク、カギなくしましたね。いけませんね。」「えっ、ダル教官バレました。」「はい。バレてます。それに妖精界の国王の娘。バイオレット姫の息子、ケイタに頼った時点で確信しました。」「ピンク。やってしまいましたね。」「はい。ダル。助けてください。というか、ダル助けて。」ケイタが「ピンク、教官にタメ口はだめじゃないか。学校で習わなかったのか。」僕は少し、お兄さんぽくピンクをしかった。がピンクは、しかられたとは思ってなくて、「だってダルは、私の父の弟。おじさんなの。だから大丈夫。」「ケイタ君、ピンクをしかってくれてありがとう。ピンクはどこか甘やかされて育ったためどこか人とずれていて。困ったもんだ。」僕は、ダルから”ケイタ君”と僕の名前がすーっと出たことに驚いた。それにさっき、僕が”バイオレットの息子”でっとか言ってたけど?「ピンク、どういうことか教えてくれないか?」ダルが「じゃ、僕から話そう。ケイタ君、君のママは”妖精界の国王の娘。バイオレット姫”人間のケイタ君のパパと恋に落ちて人間界に住んでいる。でも時々、サクラの時期には妖精界のドアが開く。時々帰って来ていたんだよ。何度か君も一緒にね。覚えていないかい?僕は思い出した。そういえばサクラの時期にふわふわした場所でお昼寝してたことを。夢のような、遠い記憶だ。「それで、本題なんだが、今回、ピンクはカギを落とした。って言ってたが、実は盗まれた可能性もある。」「えっ誰に?」「もちろん、デビル界の蜘蛛の妖精達だ。彼らは蜘蛛の糸をたくみに操り、目には見えない糸を張り巡らせる。もしかしたら。ピンクのカギもその糸の網でとられたかもしれない。しかし今はわからない。一度体制を整えることが重要だ。それに今回はピンクの卒業式ももうすぐだ。ゆっくり探している暇ない。ケイタ君、君のママ、バイオレット姫の力を貸してもらうよ。」「えっえ、僕はいいですが。」ママの名前はバイオレットじゃなくて、”すみれ”そうだ”すみれだ。”僕らは、家に戻ることにした。急降下開始。




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