月までジャンプ! 

カエデネコ

月までジャンプ!

 女七人集まるとロクなことにならない。20代初めのころの私はそう思った。


 その日は海で遊び、バーベキューをし、花火をして帰るという予定だった。


 何をしてもおもしろくて、笑いが出てくる私達のテンションはすごかった。


 若い女の子達だ!と寄ってきた男の人達すら私達の「ナンパですか?」「それ自分で、直接聞かないでしょ?」「普通は聞かない」「うるさすぎたかな」

  

 おかしなテンションに、なんだコイツらは!?とドン引きして去っていくのだった。


「やっぱり女の子だけって危ない!」


 と、言う人もいたが、どの口がそれを言う!?と思った私だった。むしろ周囲から危ないやつらだと思われている。


 このまま帰りに散歩していこう!と誰かが言った。深夜の公園は静かで、長いすべり台は月に照らされて銀色に輝いていた。


 一人がすべり台を滑り出した。お尻が痛い!と言って、また私達は笑い合う。


 アスレチックの網に足をのせてジャンプする。どんどん飛び跳ねて、まるで月まで飛べそうだった。


「ジャンプ!ジャンプ!!」


「もっと跳んでー!」


 裸足になってするともっと楽しかった。月に届きそうと思った瞬間に、人がいることに気づいた。


「あ……カップルが遠くへ移動したのが見えた」


「私達、迷惑?」


「お邪魔だね」


 そりゃそうだろう。そこで人の迷惑に気づき、帰っていった。


 後日、また私達は集まった。


「いやー、素面であんなテンション高い私達ってすごいよね!」


「ホント、若すぎた。反省」


「あの後、車の中、砂だらけで大変だった」


 一人だけ笑わない人がいた。真顔で写真を眺めている。


「これみて?」


 ジャンプしていた時の写真があった。


「なに?この光??」


 ぼんやりと明るい光が、点々とついている写真があった。


『心霊写真!?』

 

 私達の深夜の大騒ぎは眠っていたモノも起きてしまったようだった。それからは深夜に公園で散歩しようなんて言い出す人はいなかった。

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月までジャンプ!  カエデネコ @nekokaede

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