第08話 若さゆえの過ち


 第二王子に転生して半年。

自分の部屋の鏡に、以前のぽっちゃりさんは映らない。

シンプルな白シャツ、レースなど過度な装飾は取り払った。

細身の青のスラックスの様な、パリッとしたボトムスを緩く履き。

白いシャツの裾は外に出す。少し腹筋をチラ出しする。

足元は、白く光沢のある革靴。

首元には銀製のブルーの石が付いたブローチで絞める。


なんだ、かなりいい男じゃないか。


銀髪で、前髪が無造作にボサツキ真ん中だけ少し長い。チョロッと摘まむ。

その奥には、鋭い蒼い目が蔑む様に除く。

眼鏡も掛ける。

口は皮肉気に、少し口角を上げる。

斜に構え、右手をサッと顔の前に掲げる。10歳の子供。


「永遠の氷結で、世界を閉塞させる。」


ポーズを変える。バッと指さす。

「父上、その高貴な席は貴方にはふさわしくない。明け渡していただく。」


ポーズを変える。フッと手をクロスさせる。

「すべての者に平等に死を与えてやろう。フフフフ」


「ひざまづけ、命乞いをしろ。アハハハハハハーーー」

よしっ。

こんな感じだろう。


 実は、第二王子が簒奪する際の詳しい描写はゲーム上にはない。

第一王子の本編で、ストーリーに絡んだ際に回想で、ちょろっと出てくるだけだった。

なので、いまからセリフや立ち回りを練習している。

悪役っぽく、それでいてかっこよく冷酷に。マントほしいな。


「兄上、どこにいこうというのかね。」

これもいいな。メモしとこう。

某少佐はいいね。負けの美学は真似ないけど。


中二病の発症である。転生だから再発症になるのだろうか。



やはり不治の病の様だ。


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