第3話 スキル選び

「さて、とりあえず一通り見てみるか」


スキルは全部でこんな感じ。

・超筋力

・並列思考

・危機感知

・魔法

・隠密

・恐怖緩和

・剣の達人

・槍の達人

・斧の達人

・弓の達人

・暗殺術

・投擲術

・分身

・狂化


「物騒なの多くね?」



・スキルとかファンタジーだな

・現在進行中でファンタジーなんだよなぁ

・黒幕が忍者になれって言ってるな

・隠密と暗殺術取って忍者になろう

・NINJA!NINJA!


忍者ビルドを推してくるコメントはほっとこう。


「でもなぁ、これ外に出た後もスキルとか身体能力とかそのままなのか?」


だとしたら、暗殺術をとったら一気に危険人物だが。うん。暗殺術と狂化は無いな。



・だとしたら暗殺術ダメかぁ

・そんなぁ。俺たちのNINJAが……

・危険人物になってまうししゃあなしやな

・視聴者千人超えとって草

・ほんまやw


「は?」


視聴人数の蘭を見てみると、そこには1540人という数字が。


「ええ!」


いつの間に十倍近くに!?だが、良く考えればそれもそうか。あの執事は配信サイトで放送してるって言ってたもんな。多分これからもっと増えるんだろう。



・ニュースに取り上げられてるぞ

・当たり前やろ

・それな。なんてったって非日常が起こっとるわけだしな

・これから視聴者もっと増えるだろうな

・今のうちに古参ぶっとくか

・笑笑


「まじか……」


全国放送されてるのか。まあ、迷宮の中にいるうちは外の事を考えても仕方がないか。


「とにかく、スキルを決めるぞ!」


まず候補に上がるのは、超筋力、危機感知、隠密、恐怖緩和、魔法、達人シリーズ、分身だ。しかし、ゲーム脳な俺は、あるスキルが無いことに不安を覚えた。


「そういえば、耐性系は……?」


コメント

・そういえば、無いな

・まぁ、あとから入手できるかもしれないし……

・あっても優先度は低くね?


コメントの言う通りかもな。確かに耐性系がここに並んでいたとしても、他のと比べると見劣りするかもしれない。しかし、耐性系を舐めてはいけない。俺はとあるゲームでそれを思い知ったのだから。


「毒が世界〇の迷宮並だったらどうするんだよ!」


コメント

・どこまでもゲーム脳で草

・世〇樹の毒はちゃんと毒してるからな

・確かにあれは耐性無きゃキツい

・序盤は即死魔法と同じようなもんだからな

・中盤も終盤も脅威なのには変わりないよな


おお、意外とマイナーなゲームなのに知ってる人がたくさんいる。そういえば、近々リマスター版が出るんだっけか。


「ああ、リマスター版早くやりてえ」


つい独り言を漏らしてしまうと、コメント欄にはまずここを出ろというコメントがちらほら見える。む、油を売ってる場合じゃないな。


「よし、スキル決めるぞ。視聴者の皆も真面目に案だしてくれ。とりあえず、魔法か投擲術は確定でいいな?」


この場所には俺以外にも誰かいるかもしれない。しかし、そんな一縷の希望に賭けてビルドの選択を誤ってはいけない。尖った構成は仲間がいるからこそ出来るんだ。俺が求めるのは手数の多さだ。


コメント

・せやな。遠距離への攻撃手段は必須

・ここにいるのお前だけっぽいしな

・だったら魔法じゃね?物理は貰った剣があるし

・確かに。今後絶対にどっちかの耐性に偏った奴が出てきそうだし


「そうだよな。大岩に化けたモンスターとかいるかもしれないな」


あいつ、物理攻撃とか全く効かないんだよな。今後、そんなモンスターが出る可能性があることを考えると、魔法を取るのが無難な気がしてくる。まあ、ここはゲームではなくて現実なんだがな。


「よし、魔法は決定」


魔法の文字をタップすると、「このスキルを取得しますか?」という文章が出てきた。本当にゲームみたいだな。「はい」の部分をタップすると、「スキル『魔法』を取得しました。第一層にてチュートリアルが行われます」という文が。


「チュートリアル?いや、助かるんだけどさ、まさかさっきみたいに誰か来るのか?」


恐らく、そうなんだろうな。あの老紳士もチュートリアルと言っていたし。今ここで考えていても仕方ないか。次だ次。


「んー、あとは危機感知、恐怖緩和、超筋力辺りかな」


コメント

・レベルアップで力上がるなら超筋力いらない気が

・どれもあって損ないからなぁ

・恐怖緩和必須だと思うの俺だけ?

・俺も必要だと思うわ。怖くて足すくんだりしたら元も子も無いしな

・まあ、この先手に入るか分からないし、ステータスじゃ補えないものが無難よな


「ふむふむ。となると隠密と分身も視野に入るか?いや、危機感知の方が良さそうだな」


隠密は今後通用しないモンスターが出る可能性がある。分身は実体を持つのかそうじゃないかによって使い道が大きく変わる。なら、効果が分かる危機感知が安定か?危険を察知できるだけで、探索の安定性はだいぶ変わるだろうしな。


そして、俺はビビりだ。ホラー系は無理だし、絶叫系アトラクションも乗れない。よって、恐怖緩和は必須と言える。命のやり取りに俺が恐怖を感じない訳が無いのだ。最悪、モンスターの目の前で失神する可能性すらある。


「よし、あと二つは危機感知と恐怖緩和で決定!」


「スキル『危機感知』と『恐怖緩和』を取得しました。第一層にて、スキルの説明がされます」


こうして、俺のスキルビルドは完成した。


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中村唯斗 ▼ショップを開く

EXP 0/100

所持金 0G

スキル

魔法

危機感知

恐怖緩和


視聴人数 ▼コメントを開く

15317人

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