第4話 大瀧詠一が歌う「恋するカレン」について

 筆者の好きなミュージシャンの一人に、大瀧詠一がいる。亡くなってからかなりになるが、今もCMなどで彼の曲がかからない日はないだろう。

 大瀧詠一のことを何かふざけた曲ばかりを作っている人だと思い込んでいた時期があったが、彼自身が歌う曲も、他者に提供した曲にも、素晴らしい曲がたくさんあることを今は知っている。「君は天然色」「冬のリヴィエラ」「A面で恋をして」「恋するカレン」「夢でもし逢えたら」「風立ちぬ」など大好きな曲だ。

 ただ、「恋するカレン」(作詞は松本隆)を聴いている時だけは、その歌詞の内容に何か違和感を持っていた。

 歌の中には、かたちのない(僕の)優しさよりも、(彼の)見せかけの魅力を選び、誰よりも君のことを愛していた(僕の)心を知りながら、(君は、僕を)捨てる(んだね)、というくだりがある。

 一方、歌の中には書いてはいないのだが、聴いていると、どうも、「僕」も、カレンの外見的な美しさに魅力を感じているのではないのか、と思われて仕方がない。それは矛盾するのではないですか、と言いたくなってしまうのだ。

 この感じ方も、筆者個人のものに過ぎず、いろいろな解釈が可能だとは思う。

 何にせよ、この曲を含め、大瀧詠一も松本隆も、大好きなミュージシャンであることに間違いはない。(了)

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