社畜の限界レシピ

石月 和花

限界社畜の豆腐丼

 石月さんのアップするお料理、どれもとても美味しそうですね。色んなレパートリーがあって、参考になります。


 これはTwitterのフォロワーさんから頂いた言葉だ。


 私は料理が趣味……というかストレス発散方法の一つなので、週末には大体料理をしてTwitterに写真をアップして記録として残している。


 だからそんな私の呟きを見て、皆が私の料理を褒めてくれるのだ。


 しかし……しかしだ。


 Twitterに載せているのはあくまでもよそ行きの料理。見せることを念頭に置いてあるから当然見栄えも良いのだ。


 けれど私は常にこんな料理を丁寧に作っている訳ではない。


 私は重度の社畜なのだ。


 職種はSE。


 平日にまともな料理をしている余裕などある訳が無いのだ。


 では、そんな修羅場の時に食べるご飯はどうしているのかというと、とにかく手早く簡単に作れて美味しくてちゃんと栄養が摂れる超絶手抜きご飯で乗り切っていた。


 しかし、これはとてもじゃ無いがTwitterにアップ出来ない代物だった。

 何故なら、見た目がとても美味しそうに見えないから。


 そのご飯とはオリジナルの豆腐丼。


 材料は至ってシンプル。


 ごはん

 豆腐

 きゅうり

 鰹節

 醤油

 ごま油

 そして、もし家にあったら海苔


 作り方も至ってシンプルだ。


 丼にご飯をよそって、その上に鰹節を振りかけて(海苔も家にあったらちぎって振りかけて)、そして一人前の豆腐をドーンと丼に投入して、さらに食べやすい大きさに賽の目切りにしたきゅうりを加えて、ごま油と醤油を回し入れて(私の好みは醤油ちょっと多め)

、最後に材料が全て入った丼の中身を、全部が混ざり合うようにスプーンでかき混ぜるのだ。


 ぐちゃぐちゃ、ぐちゃぐちゃと。


 こうして出来上がった豆腐丼は、まぁ、お察しの通りなんとも言えない見た目だ。

 少なくともコレを料理として人には出せないレベルだ。


 けれども自分で食べる分には何の問題もない。たんぱく質は豆腐で取れるし、炭水化物もご飯で取れる。きゅうりも入れたから一応野菜も同時に食べてることになるし、なんか栄養面がちゃんとカバー出来てるような気がする。


 また、豆腐だけだとただぐちゃぐちゃの柔らかい食感しかないのだが、そこでキュウリの歯応えがアクセントになって良い塩梅なのだ。


 そして何より、食材がシンプルなので夜23時過ぎに食べても、翌日胃もたれを起こさないのだ。アラサー以上の社畜にコレは重要だ。


 正直私はもっとこの豆腐丼が世の中に広まって欲しいと思っている。


 ぐちゃぐちゃの見た目にも関わらず、結構美味しいし、誰が作っても失敗しないのだ。


 簡単に短時間で作れるご飯。


 世の中の社畜仲間にも是非知ってもらいたいなぁと思いながら、私は今日も一人で深夜社畜飯を食べたのだった。


(余りに深夜すぎたので半分は明日の朝に残して。)

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社畜の限界レシピ 石月 和花 @FtC20220514

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