逆ハーレムで良き家族が居る私の幸せ日記

はなびえ

今日は彼氏がお泊りにくるナウ!まぢ緊張~🥺

 佐々木 志保は勝ち組である。

 親が経営者でお金に困った事なんて人生で一度もないし、自分で言うのもあれだが、世の中の大抵の女子より良いスタイルで美人な自信がある。


「姉さん!今日、彼氏がうちに泊まりに来るって本当!?」

 土曜日の穏やかな昼下がり。

 リビングにて、私がお気に入りの紅茶でティータイムに入っていると、血相を変えた様子で義弟陽太が私に詰め寄ってきた。

 怒った表情もまるで映画のワンシーンのようなのだから、流石私の家族である。


「本当よ」

「そ、そんな......この前、別れてくれるって言ってたのに」

「気分が変わったのよ。逆に聞くけど、陽太の愛ってそんなものなの?私が他の人のものになったら冷める程度のものなんだ」

「そ、そんなわけないじゃん!」


 陽太はまるで捨てられそうな子犬のような表情で縋り寄ってくる。

 これを見て、酷いと言う愚か者がごくまれにいる。

 だが、そんなの私から言わせればただの『嫉妬』にしか聞こえない。

 私のような優れた人間は他の下級な人間を手玉に取って当然なのだ。


 逆に聞くが、顔だけは無駄に良くて父さまと再婚できたあの女の息子と、生まれながらにして全てを手にした私がとで、対等な関係を築けると本気で思っているのだろうか。

 結局の所、人間としての差があるのだ。

 それ以上でもそれ以下でもない。


「こら、あんまり生意気なことを言うなよ。なあ、志保ちゃん」

 私たちの声に気づいたのか、義兄雄一が階段から降りてきた。

 服自体は私服だが、きっちりと髪はセットされており身長も190と高く、まさに出来るビジネスマンと言った感じの風貌をしているこの紳士も私にメロメロなのだ。

陽太にもこれくらいのレベルの男になってから、求婚なり何なりをしてほしいものである。

 まあ、これがオスとしての最低条件なのだが。


「失礼...」

 雄一は美しい私に敬意を示してか、私の細くしなやかで色白な手に口づけをしてきた。

 陽太がもしこんなことをしてこようものなら、蹴り飛ばす所だが雄一は使い勝手がよく従順なので、こういうことも許している。


「今日も可愛いね。愛してるよ」

「ふんっ、性欲に支配されてる盛り猿もうまいこと言えるのね」

「本気だよ。愛してる」


 なんて、猿たちとお話をしているとインターフォンのベルが鳴り響いた。

 きっと、テニス部のエースで政治家の息子かつ、高身長でイケメンな俊光がきたのだろう。

 私は猿たちなんて放っておいて、俊光くんを向かいに行くべく玄関へとむかった。


「いらっしゃい」

「......あ、ああ。ほらこれプリント届けに来たよ」

「ええ、ありがとう。どうぞ、上がって」

「...いいの?」

「ええ。当たり前じゃない」


 彼は照れからか、頬を赤らめ視線を右往左往とさせだした。

 流石、私と同じ選ばれた人間だけあって初心で可愛い。


「さ、どうぞ。ここがリビングよ」

「あ、ありがとう!」

 彼はあまり人の家に来たことがないのか、不慣れな様子でソファに座った。


 猿共を紹介するか迷ったが、俊光くんと私が結ばれたら家族になるのだ。

 早めのうちの方がいいだろう。

「この二人は私の義理の兄と弟よ」


 俊光くんは目を見開き、恐る恐るといった様子で呟いた。

「......そ、それ人じゃなくてダンボールだよね」

 ......どうやら彼もそっち側の人間だったらしい。。。


「あなたまでそんなこと言うの...?冗談よね?ね?ね?」

「学校に来てた時期に佐々木さん豪邸に住んでるって言ってたじゃん?でも、ここアパートだし、うじ湧いてるし。狂ってんじゃないの?」

「なんでそんなウソを言うの???????????????????????????????????????????????????????????????????????????」


 私は予め、雄一に隠し持たせていた果物ナイフを雄一から受け取り、構えた。

「お、おい!何もってんだよ!は?...謝るから!え...?マジでごめん!な?もういいだろ!」

「あなたが悪いのよ」


 私は何度も何度も何度も恨みを晴らすかの如く、ナイフを振りかざし続けた。

 ........それから五分もすると完全に息の根が止まったのか、俊光くんは復活し私に深々と頭を下げてきた。


「変なこと言っちゃってごめんな佐々木さん。君を愛し過ぎて、想いが暴走しちゃったみたいだ。とほほ」

「こんなこと許されないぞ!俺たちの姉さんになんてこと言うんだ!」

「まあまあ、人は間違うものさ。これからは四人で志保ちゃんのことを愛することになるんだし、仲良くしようよ」


 俊光くんも反省したようなので良かった。

 良い女とは馬鹿な男のミスも許せるのだ。


「「「愛してるよ」」」

 ......まったく、愛される側も大変である。

 まあ、悪い気分ではないのだが。

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