鬼塚発見!

「もしもし!阿南さん!鬼塚さん見つかりました」

 興奮気味の伊万里から電話がかかってきた。

「え!見つかったの?本当⁉︎」

 一華は立ち上がり、

「本郷さん〜!」

 そう呼ばれて本郷が飛んできた。

「皇ちゃんから電話がきて鬼塚さん見つかりました!」

 一華からそう知らされ、

「本当か⁉︎阿南!悪いが、スマホをスピーカーモードにしてくれないか?」

 本郷が頼むと

「わかりました」

 一華はスピーカーモードにした。

「皇!鬼塚さん何処で見つかった?」

 本郷が聞いた。

「えっと烏丸通りの交差点です。私の向かい側にいます。高齢男性と一緒です!」

 伊万里が答えると

「了解。皇、兎に角鬼塚さんに声かけろ」

「わかりました」

 そう言って伊万里は電話を切った。




 信号が変わり鬼塚との距離が近くなって

「鬼塚さん!」

 伊万里が声をかけると鬼塚は方向転換し、脱兎の如く逃げた。

 鬼塚と一緒にいた高齢男性は鬼塚を追いかけ、

「清志郎!知り合い?」

 と聞いたが、鬼塚は逃げるのに夢中で気づかなかった。

 伊万里は鬼の形相で

「鬼塚さん!今まで何処行ってたんですか?ていうか、なんで逃げるんですか?」

 と追いかけた。

「皇さん、怖いよ〜。皇さん、怖いよ〜」

 鬼塚は泣き真似をしながら逃げた。

 通行人達は人間と牛鬼の前代未聞の追いかけっこを物珍しそうに見ていた。

「皆心配してるんですよ!帰りましょう!」

「気まずいよ!」

「甘ったれないでください!鬼塚清志郎!」

「上司をフルネームで呼ぶな〜」

 伊万里が必死になっている一方鬼塚は怖さで逃げていた。

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