牛鬼の対話②
2日後、鬼塚は春日夫妻と共にゆりあの小学校に向かった。
学校に到着するとゆりあの担任教師の布川未来と校長が出迎えた。鬼塚が布川未来と校長に名刺を渡すと鬼塚達を校長室に案内し、鬼塚はゆりあの依頼内容を話した後、自由帳を布川未来と校長に渡した。
「まだ続いていたなんて…」
布川未来は唖然とした。
「ゆりあさん、最近元気ないからどうしたんだろうと思ってたんです」
布川未来がそう話すと
「来週の授業参観にこの自由帳の内容をゆりあさんは作文に書いて虐めを公表します」
鬼塚は淡々とした口調で話すと
「なんと⁉︎」
「貴方何考えてんですか?他の保護者の方がいらっしゃるんですよ!大事な授業参観に水を差す気ですか!」
布川未来と校長は激怒した。
「それでも教師ですか?」
「そうですよ!これ以上娘を苦しめる気ですか!」
春日夫妻は泣き叫ぶように訴えた。
「ですから先程申したように他の保護者の方もいらっしゃいますから」
「そういう訳で作文の内容を変えて頂くよう娘さんにお伝えください…」
布川未来と校長は宥めたが、鬼塚はそれを遮るように
「水を差す?こんなに虐めを苦しんでいるのに放置ですか?そんなの教師の資格を剥奪しなければいけないですね!これで虐めがエスカレートして大ごとになったらどう責任を取るんですか?」
喧嘩を売るように言うと鬼塚は段々牛鬼の姿になった。
それを見た春日夫妻は口をあんぐり開け、布川未来と校長は恐ろしさのあまり腰を抜かした。
「鬼塚さん、落ち着いてください。今回の事は諦めて下さい」
「そうですよ。止めましょう」
布川未来と校長は鬼塚を落ち着かせようとしたが、
「落ち着くには、先生方がゆりあさんの虐めを認めてからじゃないとダメです。いつまで経っても重政冬子さん、脇田明くん、石塚真理子さん、工藤隆之介くんはゆりあを虐めますよ?それでもいいんですか?それでもアンタらは教師かよ!」
鬼塚は吠えた。
「布川先生、鋸を持って来て下さい!」
「はい!」
校長にそう言われ、布川未来はすぐ鋸を持ってきてそれを鬼塚の前でちらつかせた。
鬼塚は恐ろしさのあまり後退りした。鬼塚の様子を見た春日夫妻は布川未来と校長に止めるようお願いした。
布川未来は鋸をちらつかせるのを止めた。
「すみません。やり過ぎました」
「申し訳ございません」
布川未来と校長は謝罪をすると
「ゆりあさんの作文の内容そのままで大丈夫です」
「私が悪かったです」
そう付け加えると
「その4人の生徒につきましては、授業参観後、厳しく注意します」
「鬼塚さん、申し訳ございませんでした」
鬼塚にそう謝罪した。
その後は、授業参観の日に鬼塚も来る事を約束し、鬼塚と春日夫妻は学校を出た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます