鬼塚と作文
次の日、学校が休みだったため、ゆりあは自宅を出ると何でも屋に向かった。
前日、鬼塚とゆりあは授業参観で発表する作文を書く約束をしていた。鬼塚はゆりあが書いた作文を添削する事になっていた。
その間、他の何でも屋の依頼は、伊万里と本郷が分担して行っていた。
「鬼塚さん!出来ました!」
作文の下書きを書き始めて30分後、ゆりあは鬼塚に見せた。鬼塚はじっくり下書きを読み、
「ここ、自由帳では自分だけ掃除させられて脇田君と石塚さんだけは掃除せず、私に指示出ししてたって書いてあったよ?後、掃除もゆりあさん1人だけだったんだよね?ここだけ直してもう一度書いてもらえるかな?」
「はい」
ゆりあは素直に返事をした。
そこへ伊万里が買い物代行の依頼が終わって戻ってきた。
「鬼塚さん、作文どうですか?」
伊万里が聞くと
「うん。順調だよ。致命的なミスはないし、完璧だよ」
鬼塚は片手でピースサインをした。
「それはよかったです」
伊万里は笑顔で答えた。
だが、伊万里の心の中ではゆりあが作文を授業参観で発表し、ゆりあを虐めたクラスメイトとその親から恨みを買われないか心配になってきた。世間では、モンスターペアレントという学校にクレームを言う親がいるからだ。
そんな伊万里の心配を他所に、鬼塚はゆりあの作文の下書きを添削し、修正する箇所がなかったため、今度はゆりあが下書きを見ながら作文を書く事になった。
「鬼塚さん」
「はい」
鬼塚が顔を上げて返事をすると
「あ、私報告書仕上げてきます」
伊万里はそう誤魔化して自分の机へ向かった。
その夜、伊万里は恋人の桜太郎と食事をした。桜太郎に伊万里は昨日と今日の出来事を話した。
「まぁ、それは不安に思うよ」
「そうですよね…」
「モンスターペアレントなんていうのがいるぐらいだからねー」
「鬼塚さん、やる事大胆だからちょっと親達から反感くるでしょう…」
「その依頼してきた女の子の親と先生はその作文の事、知ってるの?」
「まだ話してないんで、来週話すつもりです」
「親も先生も反対するだろうなー。きっと」
「私もそう思います」
遡る事、数時間前、鬼塚はゆりあの両親と学校に電話してゆりあの作文の事で話したい事があると話した。だが、最初両親も教師も胡散臭そうにしたが、鬼塚がゆりあの名前を出すと少し怪訝そうにしていたが、来週鬼塚はゆりあの自宅と別日に学校に行く事になった。
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