第四惑星フラム

chomocho@処女作執筆中

宇宙開拓時代の到来

孤独な富豪の夢

故障、漂流、墜落、そして




──ぐちゃ、ぐちゃ。




 静かな場所。


 響く、不快な音。


 水分豊富なトマトを、口を閉じずに咀嚼する様な音であった。




「……う、うぐ………。ココは……?」


 男が目を覚ます。


 しかしその男は、酷い怪我で左手がサイボーグは、片腕が故障してぐちゃぐちゃになっていた。朦朧とする意識。


「……何だアレは?俺は……っ!?そうだ!」


 男は世界有数の大富豪であ


 デュラル星系・第四惑星=フラム出身。39歳。


 40歳を間近にした時、私財を全て売り払い宇宙船を購入。


 宇宙へ旅立つのが幼い頃からの夢だったのだ。


 しかし志半ば、船が故障。宇宙をただひとり、漂流することとなった。


 だが半年ほど経った、ある日。


 デュラル星系・第五惑星=ダニアの引力に囚われ、どうする事も出来ず墜落してしまったのであった。


 朦朧とする中、墜落した事を思い出したのだ。


「帰ってこれたのか?だがあんな生物……ココは……」


 目覚めて目にしたのは、ぐちゃぐちゃな船体から投げ出された宇宙食を貪る、謎の生物。


 『ナァーシ』と鳴く、大きなコブの有る猪。


 観察したが、猪は温厚な様だった。


「ともかく、ココが何処か調べなくては」


 船はもう動かない。


 救難信号を発信し、非常食を持ちその場を後にした。


 そして村を発見したが、同時に、フラムではないと確信した。


 散々な目には遭ったが、夢は叶ったのだ。フラム外生物の痕跡を眼前にしているのだから。


 興奮した男は危険を顧みず走った。




「おめぇ、えろぉけったいな格好してんべや?なん?どこから来てんべ?まぁええ。こん村ぁ外から人来んのも珍しか。茶でも出してやっから外の話しば聞かしてくんろ」


「言葉が通じる!?ああ、話す!話そう!」


「そら通じるっぺ?外ぁ、人間同士で通じん事があるべか?」


「あ、ああ。驚いたのはそういう事じゃないが……。そういう事もあるな?」


「はぁ~そうなんべか。ほれ、村の名産、グチャグ茶やち」


「ぐちゃぐちゃ?そうか、ありがとう!」

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