ぼくが好きなもの
桃波灯紫
ぼくが好きなモノ
ぼくの大好きなものはぐちゃぐちゃです。
じゅぎょう中、プリントの裏に書いためいろはぐちゃぐちゃです。えんぴつを何回もけずりなおして作ります。右手は真っ黒です。
とにかく線を引いてめいろを書きます。頭のいい友達の林くんには、「海馬みたいだ」と言われました。
海馬のことはよくわかりません。だけど、ごちゃごちゃは絶対しています!
ぼくの部屋にあるおもちゃ箱はぐちゃぐちゃです。いっぱいおもちゃが入っていて、今日は何で遊ぼうかいつも迷ってしまいます。
ママはいらないものは捨てなさいというけれど、いらないものがないんです。捨てたくありません。
おもちゃ箱からあふれそうなくらいのおもちゃ。ぼくは手を突っ込んでかき回し、今日のともだちを選ぶんです。
なので、おもちゃ箱はぐちゃぐちゃしていると思います!
ぼくたちはぐちゃぐちゃです。理科のじゅぎょうで習った体のしくみをみて思いました。林くんにその話をしたら、「それは複雑というんだ」と言われたけれど、よくわかりません!
林くんだってぐちゃぐちゃだよ、と言ったら林くんは怒りだしてしまいました。
ぼくにはなんで怒っているのかよくわかりませんでした。
ぼくたちはぐちゃぐちゃです。じぶんのことも、友達のことも、本当のことは分かりません。言葉となんとなくで、ぼくたちは分かりあえていると思っているということが分かりました!
林くんにその話をしたら、「それは複雑というんだ」とまた言われました。それはよくわかりません!
ぼくは紙をぐちゃぐちゃにするのが大好きです。
いらなくなったプリントを丸めて、戻して、また丸める。そうすると紙が柔らかくなって、きれいな丸いボールができます。
紙がくしゅくしゅっとなる感じがとても気持ちいいです。
五分休みはずっとやっています!
二十分休みになったら、それを使って友達と遊びます。ボールを当てられたら鬼と交代します。当てっこです。
今日のボールはぼくのテスト用紙になりました!
ぼくが好きなもの 桃波灯紫 @sakuraba1008
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます