Change Blossom Second

朱ねこ

うさぎのぬいぐるみ

「早くブロッサムにチェンジしてチェリー王国を助けるポメ!!」


 突如私を別世界に呼び出してきた犬のようなぬいぐるみはぷにぷにとした肉球を向けてくる。

 

「インドアな女子高生が王国を助けるなんてできないよ!」

「ブロッサムにしかできないことポメ! こんなに頼み込んでいるのに無下にするなんて人の心がないポメ!!」

「さっきからひどいよー!?」


 ぬいぐるみは両頬を膨らませてプンスカ怒る。ふわふわとした見た目は可愛らしいが憎らしい。

 他人にものを頼む態度ではないと思いつつ、本屋に立ち寄ったことを後悔する。寄り道をしなければこの花畑と侵略された王国とは無縁だっただろう。

 

 ふと動く白いものが視界に入る。


「わっ! 可愛いうさぎのぬいぐるみだ〜!! お耳でかーい!」


 目がボタンで口はバツ印で縫われている。カラフルな花畑に大きな耳で立っているうさぎのぬいぐるみがあった。


「に、にげるポメ! あれは危険ポメ!」

「えっ? ただのぬいぐるみでしょ?」


 焦る声に困惑する。

 動いていたように感じたことを思い出した時には、地響きとともにうさぎのぬいぐるみが立っていた地面は円状に凹んでいた。

 

「ふぁっ!? なにごと!?」

「あいつらが僕の王国を滅茶苦茶にしたんだポメ!!」


 うさぎのぬいぐるみは再度片耳を振り上げ綺麗な花々を散らしながら私に向かってくる。

 

「ふえええ!? なにあの力!? ぶっちゃけありえな〜い!!」

「あいつをやっつけるポメ!!」


 慌てて犬のぬいぐるみを抱き逃げる。

 

「やっつけるってどうやって!?」

「さっき渡したチェリーボックスにチェリージュエルをはめてChange Blossomと叫ぶポメ!!」


 あんな怪力パンチにあたったら死んじゃうよ! 夢ならばと期待しつつ夢じゃなかったら家族と会えなくなる。

 それはいやだ。

 

「……っ! Change Blossom!!」


 光の使者の言う通りに叫ぶと私の身体が桜色の光に包まれた。

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