可愛い可愛い俺の彼女。絶対に幸せにするからね?【KAC20232参加作品】

うり北 うりこ

特別なぬいぐるみを、特別な女の子に


 俺の彼女のハルカは全てが可愛い。くせ毛も、可愛いキャラクターが好きなところも、好みではない服装を俺のために着ているところも、とにかく全てが愛しい。


 俺とハルカの出会いはバイト先のカフェだった。毎週日曜日に必ず俺のレジに並び、カフェラテを注文する女の子に気が付いたのは1年半程前。

 俺のことが好きなのかな……とは思ったが、特に何も起こらず半年が過ぎた。


 その半年間に多くの女の子に告白をされたが「どんな俺でも一生一緒にいる覚悟ある?」と聞くとたいていは逃げていく。たまにそれでも! って子もいたけれど、誰も一月と関係は続かなかった。


 そんなある日のバイト中、チョコをもらった。バレンタインというやつだ。

 俺を好きだという手紙に連絡先が書かれていたが連絡はしなかった。もう来ないかもしれないが、またカフェへと来れば話してみるつもりだった。

 次の日曜日、ハルカは来た。バイト終わりの時間と待ってて欲しい旨のメモを渡す。


「待たせてごめんね。本当に俺と付き合いたいの?」

「はい」


 真っ赤な顔で必死に下を向かないようにしている姿はいじらしい。


「どんな俺でも一生一緒にいる覚悟あるかな?」

「あります!!」


 即答だった。食い気味に言う彼女に愛しさが湧いた瞬間だった。


 ハルカは連絡はすぐに返すし、返せない時は事前に教えてくれる。友達や家族よりも俺を優先し、学校の年間予定や時間割なんかも当たり前のように教えてくれた。

 まさに、理想の彼女がここにいた。


「ハルカ、好きだよ」

「私もユキくんが大好き」


 本当は片時も離れたくはないが、そういうわけにもいかない。

 ならば、俺の分身をハルカに渡そう。そのためには、髪を伸ばさなくては。あと、髪が生地から飛び出ないような布も探さないと。俺は手作りのぬいぐるみを作ってハルカの誕生日に渡すために動き出した。

 誕生日は半年後。特別なぬいぐるみをプレゼントするために。

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