忌々しい晴れ

由良戯

忌々しい晴れ

私は晴れが嫌いだ。晴天が嫌いだ。

嫌でも死人の事を思い出してしまう。


私の知り合い、友人、全て晴れの時に死んでゆく。

共にコーラを飲み交わした親友も

バイト先で酒を注いでやり愚痴を聞いてやったくたびれた男

男運がことごとく無かった幸薄な女性も

帰るとこが無い縋る物が無く絶望した少女も全て晴れの日に失踪、自殺した

なにより嫌なのが私が自殺を手伝った少女の自殺決行日が晴れだからである。


これが嫌だ。嫌でも彼ら彼女らの顔が出てきてしまう。


何より太陽の暖かみが私が私を生きてしまっていると認識させてくる。


こんな他人の死を助長したクズの様な人間が生きていると認識してしまうのが嫌だ。


少女は晴れが好きだった。

何でも、何も先が見えない中で、晴れの日だけは見通しが良いし

何より自分の細く弱い体でも生きてると感じるのが好きだったみたいだ。

暖かいあのポカポカする感じが好きなんだと言っていた。

少女は自分が好きな晴れの日に死にたいと言っていた。何でも晴れてる方があの世に行きやすそうだと言っていた。

とても素晴らしい笑顔でそんな事を言っていた。

葬儀も晴れの日だった。


私が晴れが嫌いなのはこんな他人の死を助長した私が生きてると感じてしまうのが嫌だ。


私は今すぐにでも少女に謝りに行きたいが、少女みたいに死ぬ勇気が無いそんな自分が

のうのうと生きてるそんな現実を見せられるのが嫌だ


本当に嫌いだ












忌々しい晴れ


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