ぬいぐるみじゃダメなの？

第1話

ある時、優がパパに言った。

「パパ！新しいおもちゃ買ってよ！」

パパは寝転（ねころ）んだまま、

「どうして買いたいの？」

と優に尋（たず）ねた。

「家にあるおもちゃ、全部飽（あ）きちゃったから！」

優が、元気いっぱいに答える。

「でも、新しく買ってもまたすぐに飽（あ）きちゃうんじゃないの？」

パパは、おもちゃを買うのには反対みたいだ。

「それでも買いたいの！」

優がワガママを言う。

「パパが買ってあげた、ぬいぐるみがあるじゃないか。

　ぬいぐるみじゃダメなの？」

パパが言った。

「分かった…、もういいよ…。」

優は、諦（あきら）めたみたいだ。

またある時、優がパパに言った。

「パパ！イヌかネコ飼おうよ！」

パパは寝転（ねころ）んだまま、

「どうして飼いたいの？」

と優に尋（たず）ねた。

「かわいくて、毛がフサフサしてるから！」

優が、元気いっぱいに答える。

「でも、エサあげたり、トイレのしつけだったり、

　身の回りのお世話が大変だよ？」

パパは、イヌかネコを飼うのにも反対みたいだ。

「それでも飼いたいの！」

優がワガママを言う。

「パパが買ってあげた、ぬいぐるみがあるじゃないか。

　ぬいぐるみじゃダメなの？」

パパが言った。

「分かった…、もういいよ…。」

優は、諦（あきら）めたみたいだ。

またある時、優がパパに言った。

「パパ！弟か妹が欲しいよ！」

パパは寝転（ねころ）んだまま、

「どうして欲しいの？」

と優に尋（たず）ねた。

「かわいくて、一緒（いっしょ）に遊べるから！」

優が、元気いっぱいに答える。

「でも、赤ちゃんのうちは動けないし、

　イヌやネコ以上に身の回りのお世話が大変だよ？」

パパは、弟か妹を作るのにも反対みたいだ。

「それでも欲しいの！」

優がワガママを言う。

「パパが買ってあげた、ぬいぐるみがあるじゃないか。

　ぬいぐるみじゃダメなの？」

パパが言った。

「ママ！新しいぬいぐるみ買ってよ！」

優がママを振（ふ）り返って言う。

「どうして買いたいの？」

ママが優に尋（たず）ねた。

「パパも動けないし、身の回りのお世話が大変だから！」