第18話出会いは魔術師 (14)

ミホ③


「はぁーー。」

私は2回目のため息をついた。

マレットさんが心配そうに私を見ているけど、あなた恐いんですよ。

なに、あの魔法? 海、へこんだよ。海が!怖すぎる...

ただ...でも、『魔法』についてもう少し知りたい。そんな気持ちも隠せない。

私は聞いてみることにした。

「マレットさん。」

「はい。」

「私に、『魔法』について教えてくれませんか。」

「どんなことを?」

「あの『呪文』についてです。」

「なるほどね。わかった。それじゃまず、『魔法」についてだけど…」

そう言って話し始めたマレットさん。やたらと長い説明だったので、自分なりに要約すると…

 まず、『魔法』に必要なのは『魔力』で、それは空気中に漂っているらしい。ただし、空気の原子よりも小さいため感じることしかできないそうだ。

 驚いたことに、人間も魔力を持っているそうだ。

 本当に?それなら今度、私も使ってみたい。

 次に、マレットさんが唱えている魔法の『呪文』。これは、マレットさんオリジナルなんだと。


 マレットさんが唱える呪文は、100に分けられている。

 1の位を強い順に、1は光、2は闇、3は治癒、4は氷、5は土、6は水、7は火、8は金属、9は木、という属性に分けられている。

 そして、10の位を強い順に、10台は上級上位、20台は上級中位、30台は上級下位、40台は中級上位、50台は中級中位、60台は中級下位、70台は下級上位、80台は下級中位、90台は下級下位、というふうに分けられているらしい。

 最後の100は、『魔力視認』のための呪文。1桁は『最上級魔法』である。ちなみに、0はない。

 以上の数字の組み合わせで魔法の種類や強さが決まる。たとえば、『47クアレンタイシエテ』は、火属性の中級上位魔法、ということになる。


うんうん、凄すぎる。

9つもの属性と10の級位が使えるとは。チートすぎるよ。

ん?それにしても、『クワレンタイシエテ』って。

「ねえ!マレットさん。マレットさんが唱える時に使う言葉って、もしかして、スペイン語?」

「??…スペイン語?…我は知らない。呪文は、我が作った言葉だ。今でも使われているのか?」

え?マレットさんが言葉を作った?ちょっと、待って。

質問した私の頭のほうが変になっちゃう。ま、いいや。でも、なんかスペイン語風の呪文って…ダサいかな。って思うのは失礼?

今のラノベやアニメに出てくる呪文には英語がほとんどだから、違和感を感じるのかな?

「英語の呪文ってありますか?」

思わず聞いてしまった。ごめんね!マレットさん。

「英語???………。ん~もしかして、『God』は英語?」

「はい!!英語で『神』っていう意味です。」

「それと同じ言語なら、何個かあるよ。でも、属性呪文だと、10台の『超級魔法』と1桁の『神級魔法』だけかな。後は、他のオリジナルならある。たとえば…」

そう言ってマレットさんは、右手を前に出して唱えた。

洗清ビューティーフラー

その瞬間、マレットさんの体が光り、周囲に暖かな風が吹いた。

光はすぐに消えたが、何が起こったのか私にはよく分からなかった。

「これは体を綺麗にしてくれる魔法なんだ。これさえあれば、風呂に入らずに済む。」

な、なんか、すごい!その魔法、いつか学びたい!

たしかに、『ビューティーフラー』って呪文は、英語の『beautiful』に似ている。

「じゃあ、その『超級』や『神級』を撃つときは、なんて呪文を唱えるんですか?」

そう私が尋ねると、困った顔をして答えるマレットさん。

「ごめん。『超級』『神級』魔法はめったに使わない。だから、呪文はとくに唱えない。すぐに発動するようになっている。ためしに、もしここで我が撃ったら……この国は滅びるぞ!...なんてね!冗談、冗談、ハハハ。」

と、マレットさんは一人で笑っている。

冗談にはまったく聞こえませんよ!マレットさん!!

でも、そうか。唱えることによって魔法は発動するんだ。

私は次の質問をした。

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