第21話 飽くなき生への

 ――二日目、五時間経過。


 ****


「うーん、会いませんね? ティロノエ! 他の円卓の騎士はいずこですかね?」


 ガラハッドの座を与えられた青年は爽やかな笑みを浮かべながら、自身の魔女に尋ねる。


『えぇ、ガラハッドさま。今サーチをかけておりますが……この近辺にはいらっしゃらないようです』


 今彼がいるのは、の中だ。と言っても、西洋風でこそあるもののその規模は小さい。

 土地と金さえあれば、造れてしまう範囲だろう。


「それにしても、この戦いの主催者さんは、とてもお金持ちなのですね! このような場所を日本で用意できるなんて!」


 感心したような声を発する青年に対し、ティロノエが語りかける。


『それにしても、本当によろしいのですか? ガラハッドの座に


 そう尋ねられた彼は、にこやかに告げる。


「えぇもちろんですよ! 最初マーリン候補として呼ばれた時もそうでしたが、スリルは人生において大事です! まぁ、元々のガラハッドの座の方が自死されてしまったおかげで、こうして円卓の騎士になれたのですから! 幸運ですよ!」


 嬉しそうに語る彼の言葉に、耳を傾けているのか静かなティロノエ。それを気にすることなく、彼は続ける。


「まぁ結果として、他のマーリン候補の数名は首輪爆弾で死にましたが! それはそれですし……マーリンの座に就いた彼も頑張っているのだと思うと、身が引き締まりますよ!」


『良い事です。ワタクシとしても、貴方がガラハッドの座に就いたことは良かったと認識しています』


 そう語るティロノエに対し、彼は尋ねる。


「そういえば、魔女であるあなた達は口調が一律かのようにほぼ変わりませんが、識別方法はあるのですか? あ、ペンダントの形状とかはなしですよ?」


 そう訊かれ、ティロノエが答える。


『識別コードと自認の有無など差異は勿論ありますが……ですので、口調などに差異がないの仕方ないかと思われます』


「なるほど! それはそれで興味深いですが……まぁ今は円卓の騎士探しですね! そうしないと、僕は死んでしまいますからね! あぁ早く会いたいなー他の円卓の騎士に! それも……できれば単独行動の方に!」


 どこか、胸を躍らせているようにも見える彼に、ティロノエが今度は尋ねる番だった。


『ガラハッドさま、いえ、今はあえてこう呼びましょう。新居聖斗にいまさと、あなたがそれほどまでに生に執着している理由はなんでしょうか?』


「それは……自分の人生を生ききっていないと感じるからですよ! だからこそ……だからこそです! ボクは自分の人生を生きるのです! !」


 熱い決意を語ると、ガラハッドもとい聖斗はまた爽やかな笑みを浮かべる。そして、他の円卓の騎士を求めて、歩き回るのだった。

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