第7話 閲覧と可視化
3
明るい陽の光りに体が起床を促す。窓にはカーテンもかかっていないため、日光は直接部屋に届く。眩しさに目を覚ました美嗣はベッドから体を起こした。シーツも布団も放置されたままなのか少し埃っぽく、木枠も痛んでいた。
昨夜の記憶は朧気で、泣き崩れてそのまま眠ってしまったのだろう。ベッドへ向かった覚えはないので、彼が運んでくれたらしい。
美嗣はカインの姿を探した。小屋は他に部屋がないから、見える範囲にいるはずだ。玄関と暖炉とテーブルが配置され、カインは美嗣のいるベッドの横で剣を抱えるように眠っていた。
ほわぁっっ!推しの寝顔!貴重!スクショしなきゃ!ああ、出来ない……、ゲーム内じゃなかった。
美嗣は消沈したが、ゲーム内でも写真機を持っていた事を思い出した。自分が着けていたカバンを引き寄せて中を探る。写真機を探していると、鑑があったので前髪を整えていたら、あの文字が見えた。
今度は自分のステータス画面だ。どうやら手を顔に当てて、人先指と中指を垂直に、薬指と小指を80度くらい折った形にすると、見えるらしい。ついでだから自分のステータスを確認する。
……
神崎美嗣 レベル40
所属 なし
誕生日 1月20日
恩恵レベル 無凸
加護 願
……
武器 なし
礼装 なし
装備 なし
……
体力 3827
攻撃力 168
防御力 125
神力 355
加護力 12.2%
耐性力 2.0%
蓄積率 2.5%
練度 18.2%
運 1.6%
……
通常攻撃 レベル1
スキル
奥義 神に届く願い レベル◼
……
美嗣は恩恵のところをタップしてみる。主人の無凸状態の恩恵は神力の数値を基にキャラクターの攻撃力を上げる効果だけだったが、その下に二つ恩恵が与えられていた。
……
……
つまり、ゲーム画面と同じようにキャラのステータスを確認したり、ダメージの数字をチェックしたりできるのだ。美嗣がモンスターにやられていた時に見えた数字はこの恩恵の効果だろう。
美嗣は白亜の剣を手に取る。剣の効果やレベルを視ることができた。閲覧の恩恵はキャラだけでなく、武器や装備にも適応されるらしい。自分の能力を確認していると、カインが目を覚ましてしまう。美嗣はカインの寝顔を撮れなかった事を悔しがった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます