第6話 レベル40!?

 夕立が降り、数分の間大地を濡らした。美嗣とカインも雨に打たれてしまい、泥水が跳ねる中を小屋へと急ぐ。本降りとなった雨水に視界を遮られながらも、木造りの無人家へ転がり込む。


 ほっと一息ついて顔の水滴を払っていると、カインが暖炉の火をつけようとしているのが見えた。木をくべて小袋に入った石をその中に放る。発火石という鉱石で、神力に反応すると火を灯すのだ。カインは美嗣に火の側で暖まるように促す。


 寡黙だけど、手際がよく気遣いができる男!素晴らしい!美嗣はそんな事を考えながら、火に手を翳し暖をとる。後ろでカインが防具を外している様子が見えたので、美嗣も慣れない手付きで甲冑を外していく。


「ああ、くそ。シャツまで濡れてやがる」


 衣服を脱いでいたカインがそう呟いた。美嗣はゆっくりと後ろを振り向く。そこには上半身を露にし、雨水で濡れた褐色の肌が艶かしく照らされていた。


 うおおぉぉぉぉ!おおっっ!カカ、カ、カインの素肌ぁぁ!はぁっ!はあぁあっ!はぁ!エロい!美しい!尊死する!やっぱだめぇ!褐色肌に弱いんだ、私!しかも、銀髪なんて反則的でしょ!


 美嗣は顔を手で覆いながらも、性的な眼でカインを舐め回すように見ていた。すると、ある異変に気付く。彼の手前に文字が浮かんだのだ。それは青白く光る文字で読み取り可能な文字でこう書かれていた。『カイン レベル40』と……。


「えええええぇぇぇ!」


 美嗣の驚く声に反応したカインは、狼狽している彼女を見る。美嗣は目に見えている光景に困惑したが、直感的にこの現象が何かは分かっていた。それは1年間毎日睨めっこしていた『ステータス画面』だ。


 それが今、実在するカインにも顕現させることが出来ている。美嗣は右手を顔から放し、その光る文字列を触った。すると、追加情報がスライドされた。


……

カイン レベル40

所属 冒険者協会

誕生日 4月6日

恩恵レベル 無凸

加護 風

……

武器 なし

礼装 なし

装備 なし

……

体力  5951

攻撃力 287

防御力 358

神力  253

加護力 15.8%

耐性力 0.9%

蓄積率 1.6%

練度  11.6%

運   6.5%

……

通常攻撃 レベル4

スキル  氷風の劔 レベル4

奥義   風漸塊鵬ふうぜんかいほう レベル4

……


 レベル40、無凸、基礎攻撃力615、通常攻撃、スキル、奥義、全てレベル4っ!何これ?どうなっているの?


 美嗣はパニックになった。異世界転生よりも、推しキャラに会えたことよりも、カインのレベルが下がっている事がショックだった。そんな……、私のカインが!最強に育て上げたカインがぁぁぁっ!


 美嗣は喪失感のあまり、大粒の涙を流して泣き出した。カインは彼女がなぜ落涙しているのか分からず、側で茫然としていた。

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