新しい日常

新しい刺激の為に

6月も半ば。最近は梅雨前線のせいで雨ばかりの毎日だ。

だけど、気象は読めるものでないらしく、本日は珍しく晴れの予報だった。


「久々に晴れたね~」

「そうだね」

「こんな日にも学校があるなんて…こういう日はのんびり外を散歩してたいなぁ」


と嘆きを聞きながら僕らは屋上でご飯を食べていた。

昨日の夜も雨がザーザーに降ったため、僕らは事前に持ち込んでいたタオルで椅子を拭いて座っていた。


「でも、久しぶりにこんなに晴れ晴れしたお日様の下でお弁当食べれるだけでいっか」

「僕も、伊豆奈のおいしいお弁当が食べられるだけでも幸せだよ」


僕がそういってはにかむと伊豆奈は「も、もう!」といい、顔を覆い隠した。全く可愛すぎる。

そんなこと考えながら、おかずに入っていた手作りの唐揚げを口に入れた。


「…うう…侑斗くんだけずるい…」

「そう?」

「どうしたらドキドキしてくれる?」

「内緒」


僕はふっと笑いながらそう答えた。

すると伊豆奈はぷくっと頬を膨らませて、数秒考えた。

そして、何を考えたのか、彼女は弁当を横に置き、すくっと立ち上がった。


「……失礼!」


彼女は僕の膝の上に座った。


「えっ!?」

「えへへ…どう?」

「~~~~~~っ!」


僕は顔を真っ赤にして、向かい合っていた顔を思わず逸らしてしまった。


「もう。こっち見てよ~」

「い、いやぁ…その…」

「照れてる侑斗くんも、可愛くて好きだよ」


全く…一体どうやったらこんなにもドキドキしてしまうセリフを覚えるのだろうか。なんて俺得なんだ。


「…お弁当、食べよっか」

「うん!お弁当とって」


そのあと僕らは0距離で向かい合ってお弁当を食べた。二人とも終始顔を真っ赤にして食べた。



「……じゃあまた明日ね!」

「うん。また明日ね」


今日の学校が全部終わり下校時間。伊豆奈を家まで送り届け、僕も家までの帰路へとついたその時だった。

ぽつと、僕の頬に一滴の水が落ちてきた。


「う~ん…まあ、伊豆奈が帰る前に降らなかっただけいっか」


直後。バケツをひっくり返したような雨が僕に襲い掛かってきた。



「おかえり~って、あんた傘持って行かなかったの?」

「今日は晴れの予報だったし、いらないと思って」

「折り畳みぐらい持っておきなさいよ…」


とぶつぶつ文句を垂れている親を放っておいて僕は部屋から服をもってシャワーを浴びた。

豪雨に冷まされた体に暖かいお湯をかけながらふぅっと一息しながら考える。

付き合い始めて確か5か月。毎月記念の些細なプレゼントは手渡しているし、それに対しての伊豆奈の好意も申し分ない。毎日は楽しいし、僕らは校内でも僕ら自身もラブラブだと認めている。

ただ、何か足りない。彼女は今、そう思っている。僕はそう聞いたこともあるし、見てみるに、そう思って、今日もああやっていつもと違うことをしたのかなって思う。


「…どうしよう…このままじゃ…このままじゃ……」


いつの間にかシャワーを浴び終わっていて、僕は自室のベットにくるまっていた。


何か新しいことをしなけりゃ…。何かないか、何かないのか…。


なんども思考を巡らしては、何も思い浮かばず。そうして4時間過ごした末にある考えが思いついた。



「…仕方ない。手を出すか」


新しい風を起こすため。僕は緻密な計画をそこからオールをして考えた結果、納得のいく最高の計画が出来上がった。週末が、今から楽しみになった月曜日だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る